「気弱でノーと言えない人」が自分を守る対処法 もし無茶なお願いをしてくる相手に出会ったら

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このような無茶なお願いをしてくる相手には、気弱さんの嫌な気持ちを理解したうえであえて頼んでくる人と、気づかずに頼んでくる人がいます。どちらも、気弱さんにとっては大きな心の負担になるのですが、より危険なのは、あえて頼んでくる人です。

その場合、気弱さんを子分のような存在だと考えていて、自分への忠誠を試し、より従順な子分に仕立てようとしている可能性があります。

これは無理難題を聞いてくれるなら、子分でいてくれるだろうという考え方です。また、強要される側も、一度従ってしまったら引き返せないと覚悟が固まってしまい、よりいっそう自分を殺して従順であろうとしてしまいます。これは、マインドコントロールの手法そのもので、とても危険です。

気弱さんは優しいので、相手がこちらの状況や気持ちを理解してくれれば、対応を変えてくれると思うかもしれません。しかし、このような相手は、「話せばわかってくれる」という可能性はありません。嫌な気持ちを理解したうえで、あえてお願いをしてきているからです。

心を壊す前に「逃げる」

気弱さんが、この種の操作してくる人と出会ってしまったら、とにかく逃げるしかありません。コミュニケーション力を高めれば戦えるようにもなるのですが、すぐには難しいでしょう。理屈が通っていないような話でも、気弱さんの場合、少し恫喝されればパニックになって黙ってしまうからです。

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ですから、もし自分の嫌な気持ちを伝えてもなお「あなたのため」などと言って、無理なお願いを繰り返してくる人、威圧してくる人に近づいてしまった場合、とにかく逃げてください。

逃げる方法は、基本的にはなんの前触れもなく連絡先をブロックするだけです。何をされるかわからずものすごく怖くなると思いますが、勇気を出してブロックしてください。

会社や学校、家庭などで逃げ場がないときは、耐えるか、物理的に本当に逃げるかの選択が必要です。耐えられないと判断したときは、早めに逃げてください。

心は意外にもろいものです。人は長く我慢し続けることはできません。逃げた後のことが心配になるかもしれませんが、そのままで心を壊すより、ずっと良い選択です。

蔭山 洋介 スピーチライター

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かげやま ようすけ / Kageyama Yosuke

1980年兵庫県生まれ。クライアントは一部上場企業経営者や政治家から個人まで幅広い。企業のコミュニケーション戦略やブランディングのアドバイスもしている。学生時代演劇活動を行い、元文学座演出家荒川哲夫に師事。社会学者宮台真司の私塾にて学ぶ。「岡山県 湯郷温泉 旅館 季譜の里」のアートディレクションを行い、ミシュランガイド岡山2021に三ツ星を獲得。著書は、『パブリックスピーキング』(NTT出版)、『スピーチライター』(角川新書)、『なぜ、あなたの話は響かないのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。言葉で夢を叶えたい人のためのスピーチライターサロンを運営中

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