自動運転バスが“絵にかいた餅"で終わる理由 永平寺町の実用化現場で感じた普及の難しさ

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また、明確な金額は公開されていないが、車両本体はベースとなるヤマハ製ゴルフカートの販売価格から数百万円程度と考えられる。

さらに、遠隔管理は運行管理の人件費を抑制するためでもあるが、永平寺町の事例は専用空間を走行するため、遠隔管理者の精神的な負担も比較的少なくできるメリットもある。

“身の丈”を考えた“現実解“として

この地が、「専用空間における自動走行などを活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」として国に認定されたのは、今から4年前の2017年3月だった。

同年4月には、京福電鉄の廃線跡を利用した遊歩道に、自動運転を行うための電磁誘導線などの付帯設備の工事が行われ、同年5月より産業技術総合研究所などによる試験走行が開始された。なお、工事費用には、地方創生拠点整備交付金(国:6000万円、県:3000万円、町:3000万円、合計1億2000万円)が投じられている。

2019年4月から5月の大型連休にかけては、車両10台を使った1カ月実証が実施され、同年6月から12月までは当時、日本で最長期間となる6カ月連続実証が、さらに2020年7月からは車内無人でのレベル3の実証などが行われてきた。

1:3遠隔監視を行う永平寺町内の施設(筆者撮影)

こうした各種実証には、全国各地の自治体、民間企業、大学などの教育機関の担当者が現地視察に訪れ、筆者も参加し、永平寺町の社会実情と自動運転の社会実装に対する可能性について意見交換してきた。

その中で、町側からは「継続的な運用に向けたコスト抑制」が強調された。グーグルカーやアップルカー、またはヨーロッパのベンチャー企業などが実用化を目指す、走行場所の制約をあまり受けずに走行可能な高級な自動運転車両の導入は、町の財政状況を考えると難しく、国や県と連携した永平寺町としての“身の丈”を考えた“現実解”として、自動運転の実用化を考えるというものだ。

永平寺町では、もう1つ“身の丈”交通がある。約1年間の試走を経て2020年10月に実用化した、オンデマンド型交通システムの「近助(きんじょ)タクシー」だ。

永平寺町内の郵便局で、一時的に待機する「近助タクシー」(筆者撮影)

福井県内の全トヨタ販売企業が共同で車両のサポートをする体制を敷き、地元住民がミニバンを運転して、高齢者の通院や買い物、小学生の通学などを支援するものだ。

また、経済産業省の支援事業として、近助タクシーのドライバーがゆうパックの配送を行う日本初の貨客混載の実証も2021年2月に行われた。

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