結婚条件は「年齢と見た目」の男性の驚きの結末 露骨すぎる要求にも、嫌がらない相手の本音

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同じく東京に実家がある香苗さん。短大卒で、年収は400万円超の事務職だ。40歳を過ぎてから結婚相談所に入り、当初はいくつかの条件で相手を探していた。年齢は40代、親と同居していない人、年収は500万円以上だ。なお、学歴は問わなかった。直之さんは年齢だけはギリギリ条件の範囲内だが、年収は異なるし1人暮らしもしたことがない。そんな直之さんからのお見合い申し込みをなぜ受けようと思ったのだろうか。

「条件がいい人とお見合いしても話がうまく続かないことが多かったからです。自分の話ばかりするような人と2回も会うのが死ぬほど嫌でした。でも、そういう人たちといっぱい会ったからこそ、『条件じゃないな』と気づけたのだと思います。話しやすくて一緒にいて楽しいことが大事だったんですね」

正直すぎる直之さんだが、変わる努力は続けていた

一方の直之さんは、結婚相談所の価値を「お見合い相手の年齢を絞って検索できること」などと相変わらず露骨に表現する。ただし、選ばれやすい自分に変わる努力は続けていた。自己啓発セミナーでコミュニケーション能力を根本から直したことだけでなく、お見合いで断られたときはその理由を担当のカウンセラーに必ず聞いていたのだ。

「見た目が想像と違ったらしい、と言われたこともあります。僕はグレーのカジュアルスーツがよいと自分では思っていたのですが、似合っていないし第一印象もよくないそうです。明るめの色のポロシャツなどを勧められました」

いま、2人は直之さんの実家から車で15分ほどの新居に住んでいる。毎朝の掃除と洗濯は直之さん、料理は香苗さんの担当だ。介護が必要な直之さんの母親のところには週2回ほど通えているという。

「妻とは話していて楽しいです。好きだった前の彼女と同棲していたときの感覚がよみがえってきました。気疲れせずに一緒に暮らせています」

新婚の妻がいる前で「前の彼女」を何度も言及し、そのときの感覚と同じだと評する直之さん。よく言えば正直すぎる人物である。画面の外からは香苗さんの笑い声が聞こえてきた。

(取材協力:結婚相談所ganmi)

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大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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