「今までは自分をよく見せることばかり意識していたのですが、そうではないのですね。相手を知ろうという気持ちと、一緒に楽しめる場づくりが大事だと学びました。おかげで仕事でも成果を出せるようになり、先日は3000万円の機械の注文を取ってきました!」
紹介された相談所で香苗さんと出会う
自分が輝ける場で知り合った人とのつながりは信頼でき、公私に有効であることが少なくない。直之さんはそのセミナーのクラスメイトから結婚相談所を紹介してもらった。それが冒頭で述べた相談所である。入会は昨年の春だった。
「僕が結婚相手に求める条件は、目がぱっちりしていてやせ型の女性であることです。年齢は自分と同い年まで。彼女(香苗さん)に会うまでに6人ぐらいとお見合いしましたが、LINEのやり取りが急に冷たくなったりしてうまくいきませんでした」
そのときに見つけたのが香苗さんのプロフィールだった。直之さんは「ぽっちゃりしているけれどやせたら好みのタイプになる可能性がある」と判断。お見合いを申し込んだ。
見た目ばかり重視している直之さんをちょっと幼く感じる人もいるだろう。しかし、直之さんが相手に求める「条件」はほぼそれだけだ。結婚した現在は、実家を出て香苗さんと2人暮らしを始め、家事も分担している。
「まだ真剣交際に至っていないときに、(ダイエット用の)プロテインを直之さんから渡されました。5キロやせてほしいとは頼まれていたけれど、『あ、本気なんだな』と気づいた瞬間です」
Zoom画面から外れたところからハキハキとした声だけが聞こえてくる。完全に自宅モードなので顔を出せないという香苗さんが、直之さんの近くでインタビューに参加してくれているのだ。
「体重は言えませんけど、私は確かに太り気味です。家族からもよくいじられていて、やせたい気持ちはずっとありました」
とはいえ、好きでもないお見合い相手からの「やせて」は完全なセクハラである。しかしその点、香苗さんは初回から直之さんを気に入り、2回目のデートから「絶対にこの人!」と決めていたと振り返る。
「私は1年ぐらい結婚相談所に在籍していました。50人ぐらいとはお見合いしたと思います。仮交際をしたことは何回もありましたが、会う前にすごくブルーになるんです。好きでもない人と会ったり電話したりするのが嫌で仕方ありませんでした。直之さんは、会う約束も電話も嫌じゃないと感じられた初めての人です」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら