ラガルドECB総裁、またも市場「挑発」の危うさ 「市場との対話」に慢心は禁物だと心得るべきだ
3月31日、ラガルドECB(欧州中央銀行)総裁がブルームバーグテレビとのインタビューで「投資家は好きなだけわれわれを試すことができる(They can test us as much as they want)」と金利の上昇圧力が高まっているユーロ圏債券市場を牽制し、市場参加者の間で話題となった。
発言のトーンは「牽制」というより「挑発」に近いものであり、「突然なぜ」と思った向きも多かったようで、筆者にも問い合わせが集中した。アメリカ発のリフレトレードに呼応して域内金利に上昇圧力がかかっていることをECBが快く思っていないのは周知のとおりであり、3月11日の政策理事会ではパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入ペースを加速させると宣言したばかりである。
今回の牽制発言はその延長線上で理解すべきだろうが、わざわざ主要中央銀行の総裁がテレビで市場の投機を煽るような情報発信を行うことに危うさも覚えた。ラガルド総裁は稀にそういった危うさを覗かせる人なのだ。
金利をコントロールできるという自信?
それだけPEPPを主砲とする現行の政策枠組みに自信を持っているということなのかもしれない。さらにラガルド総裁は「われわれは現時点で例外的な手段を多く持っている。必要に応じて、われわれの責務や経済への約束を果たすために使用するつもりだ」と述べた。
これは3月11日の政策理事会で「理事会は、次の四半期にわたってPEPPに基づく購入は、年初の数カ月よりも大幅に速いペースで行われると予想する(the Governing Council expects purchases under the PEPP over the next quarter to be conducted at a significantly higher pace than during the first months of this year)」との一文を声明文に加え、4~6月期以降の域内金利上昇を抑制する方針を鮮明化したことの再確認だろう。四半期ごとに購入ペースを見直すことも示唆しており、「危なくなったらアクセルを踏むだけ」という姿勢である。
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