日本人が知らない「アジア系女性差別」酷い実態 ヘイト犯罪デモに集まった人たちに話を聞いた

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それでも、リーの世代のアジア系アメリカ人女性は、彼女の両親の世代よりも、自己を主張するツールと武器を確実に手にしている。

まず、英語ネイティブであること。そして、SNSのツールを使いこなして英語で自由自在に個人発信ができることだ。「アジア系やアジア人は、どんな屈辱や酷い扱いも、ただ黙って耐える人種だとは、もう誰にも思わせない」とリーは言う。

そのためには、黒人や白人などすべての人種間で、差別に反対する人々と強くつながって連帯し、アジア系へのサポートを「数」ではっきり見せるしかないと彼女は言う。

約1年で3795件の人種差別行為

白人が多い学校や職場でたったひとりのアジア系女性として生きてきた経験が長いリーだが、いま外出する時は、大きめのマスクをして帽子を被り、髪の毛をすべて帽子に入れ、サングラスをかけて長袖を着て、極力アジア系だと悟られないように気をつけている。

「アジアの食や文化が好きなら、私たちのことも好きになって」というサイン(写真:筆者撮影)

コロナ禍でのアジア系へのヘイト犯罪を記録してきた団体「Stop AAPI Hate」によれば、昨年3月から今年2月の間に同団体に報告されただけでも、3795件の人種差別による攻撃やいやがらせや暴力があったという。国内50州すべてで被害が報告されている。

アジア系女性にとって、中国語やタイ語、日本語や韓国語をアメリカの街中で話し、黒い髪の毛をなびかせて歩くのは、今は危険でしかない。

ペッパースプレーや警告笛、スタンガンは、どの銘柄が一番目立たなくて性能がいいのかーー。そんな情報交換がアジア系女性たちの間で行われているのが今のアメリカの日常だ。

長野 美穂 ジャーナリスト

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ながの みほ / Miho Nagano

米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙記者として5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社に勤務した経験もある。

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