日本人が知らない「アジア系女性差別」酷い実態 ヘイト犯罪デモに集まった人たちに話を聞いた
タイからアメリカに移民してきた両親の間に、アメリカで生まれたリー。彼女がこれまでの人生で経験してきた差別は、「セクシズム(性差別)とミソジニー(女性嫌悪)の混合タイプだった」という。タイ系の女性というだけで、周囲の白人男性から「性産業」や「性ツーリズム」の偏見の眼差しで見られてきたと語る。
だからこそ、アトランタの事件の犠牲者で、マッサージ店で働いていたアジア系女性たちの背景を知った時は、心臓に突き刺さるような痛みと衝撃を感じたと言う。
ステレオタイプど真ん中の役しかこない
ハリウッドで製作される映画において、彼女がこれまでキャスティングされた役柄も、ステレオタイプど真ん中の役ばかりだ。ネイルサロンの店員か、性奴隷として売られた女性、または性産業で働く女性、この3つだけだった。
「それでも最初は、これも映画業界に入るための手段なんだと我慢して一生懸命演じた。文句を言わず必死に働くべし、という教育を移民の両親から受けていたから」
だが、どんなに頑張ってもその3種類以外の役は得られなかった。「せめて普通の人間の役を演じたい。過去があって未来もあるような個人として描かれている普通の人間の役を。そんなに贅沢な要望ではないと思うけど」とリーは言う。
最近になってやっと『パラサイト』や『ミナリ』などのアジア人やアジア系の製作者が撮った映画作品が話題になるようになり、少しずつ業界が変わってきたことを彼女は喜ばしいことだと受け止めている。
だが、アメリカ人男性の間で長年培われた、アジア系女性に対する偏見は、根深くてそう簡単に払拭できるものではないとリーは感じている。
「白人コミュニティで育った私は『男性の視線が注がれるのはあなたがエキゾチックで魅力的だからでしょ。いいじゃない』という言葉をよく白人女性の友人から言われた。『それは違う、つねに性的な興味だけで見られるのは、侮辱であり、賞賛なんかではないのだ』と彼女たちに言っても、通じないことが多かった」。
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