2匹目の「うなぎパイ」はこうして生まれた 浜松の老舗菓子店が半世紀ぶりに新ブランドを投入

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発表された2つの新ブランド。「五穀屋」の「黒豆酒」(手前)、「coneri」のパイとディップ(奥)

新しいのは食感だけではない。coneriでは、別売りのディップ(クリーム状のソース)をパイにつけるという、新しい食べ方を提案している。「あんこ&ミックスベリー」といった甘めのものから、「桜えびタルタルソース」「塩こうじトマトソース」のように酒の肴になりそうな味まで取りそろえている。

「おやつはもちろん、ヨーグルトを付けて朝食にしてもらったり、パーティでのおつまみとしての需要も狙っていく」(間宮純也常務)

うなぎパイと共存できるパイ

新ブランドの開発がスタートしたのは、2012年のこと。春華堂の年商70億円のうち、今も9割近くを稼ぎ出す看板商品のうなぎパイだが、1961年の販売開始から50年が経過しており、ここ数年は発売当初のような大きな伸びが見られなくなっていた。そうした状況の中で、うなぎパイ発売50周年を記念した、新商品の開発プロジェクトが発足した。その一員である企画部の小田木有紀子主任は、当時をこう振り返る。

「うなぎパイの歴史や40人の職人を抱えていることもあり、パイに特化しようというコンセプトはすぐに決まった。けれど、うなぎパイに似せてしまうと、競合商品になってしまう。そこの折り合いをどうつけるかが、大きなハードルだった」

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パイ(手前)とディップ(奥)は、いずれも6種類ずつ

お菓子ではなく、肉などを使った「総菜のパイ」を作れないかというアイデアも出た。だが、1887年の創業以来、お菓子一筋だった春華堂には、総菜に関するノウハウがない。

コンフィチュール(ジャム)を付けたらいいのではないか、という意見も出たが、コンフィチュールはどこの菓子メーカーも作っている。春華堂らしさがない。開発の方向感が定まらないまま、プロジェクトの立ち上げから1年以上が経過した。

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