(第36回)<知花くららさん・前編>ミス・ユニバースと編集者の選択で揺れる

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●「今だからできることを!」人生を変えた一言

知花くらら 私が大学で学んでいたのは教育哲学という学問でした。就職活動を始めた頃、学校の先生になることも考えましたが、その分野で学ぶ自分に限界を感じていました。教育哲学や教育学を学び先生になったとして、必ずしもいい先生になれるとは限らない。先生になるなんて恐れ多いとも思っていました。それなら、自分の好きな分野に進んでみようと考えると、ファッションと編集の仕事に絞られました。そして、出版社を受け、光栄なことに内定をいただきました。

 内定者ミーティングのときに、その出版社の方がおっしゃった言葉です。
「君たちは働き始めたら時間がなくなるから、今のうちにやりたいことをやっておきなさい」。
 編集の仕事にはそれが活かされると言われ、そうか!と素直に受け止めました(笑)。
 さっそく、ミス・ユニバース・ジャパンの応募書類をダウンロードして、就職活動のPR書類を記入する要領で、自己PRを書きました。ひとつだけ、書類につける自分の写真が足りなかったのですが、たまたま沖縄に旅行していた時に友人が撮った私のスナップ写真があったので、その写真を貼り付けて応募しました。

●再び、進路変更の決意をする

 就職内定者ミーティングは月一回ありました。その時に、もうひとつ印象に残る言葉がありました。
「君たちは会社に入ると、会社の歯車として働くのだ。会社が成長するために大いに頑張って欲しい。そのためには今のうちにいろんなものを吸収しておいてください」
 もしかしたら、「歯車」という言葉に引っかかる人もいたと思います。そのときの私はビジネスにとても興味があり、会社員として会社のために働くとはどういうことだろうという純粋な興味があり、会社で働くことの意義を知ったらまた何か新しく見えてくるのではないかと思っていました。

 ミス・ユニバースに応募し、本大会に進む過程で、会社に相談に行きました。「出版社で編集者として働きたい思いは今も変わりません」と言ったところ、「中途半端は君の人生に良くないから一本に絞ってみたらどうですか」と。そのとき迷いは消えました。
 ふだん、何かを決めるのにそれほど時間のかかるタイプではないのですが、このときばかりは、とっても時間をかけて悩みました。

(取材:田畑則子 撮影:戸澤裕司 衣装協力:ラルフローレン、ヘア&メイク:Akiko Owada)
知花くらら<ちばな・くらら>
沖縄県那覇市出身。上智大学文学部教育学科卒業。
2006 ミス・ユニバース・ジャパンに選出され、同年7月にロサンゼルスで開催された2006 ミス・ユニバース世界大会で第2位に輝く。現在はビューティ・アイコンとして注目されるなかテレビやラジオ、雑誌および広告に出演。国内外に活躍の場を広げている。
知花くらら 公式ブログ&Website: www.chibanakurara.com
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