「会社名」で仕事を選ぶ人が追い詰められるワケ モチベーションをどこに置くかが重要だ
「会社で選ぶ」に取って代わるのが「シナジーで選ぶ」というコンセプトです。これは、自分がいかにその会社で力を発揮して成果を出せるかどうかという視点です。言い換えれば、個人と会社とがお互いに助け合いながら必要な役割を果たし、相乗効果で成果を出す=シナジーを生み出すということです。
シナジーを重視する場合、個人は自分の経験や能力を会社がちゃんと生かしてくれるのか、またそれをさらに伸ばすための投資をしてくれるのかという視点で会社を選ぶようになります。
一方会社側は、適切に投資をすればハイパフォーマーとして活躍して成果を出してくれる人を積極的に採用するようになります。
シナジーを生み出せれば、働くのが楽しみになりますし、次に転職するときにも自信を持って自分をアピールできるようにもなるのです。
私個人の例で言うと、ヤフーを一度退職し、再び戻ったときに、「自分が得意とするモバイルのプロダクト開発に携わりたい」という考えと、会社側の「PCからモバイルにシフトしたい」という考えがかみ合ったため、シナジーを生み出せた経験があります。
モバイルに関わりたいというのは最初の退職前から主張していたのですが、当時は会社が本気ではなかったので、私には必要な武器が与えられず、シナジーを生み出すことはかないませんでした。
しかし、2回目のときは、会社から「必要な武器を与えるからぜひ力を貸してほしい」と言われたので、再び戻る決断ができたのです。
まさに、自分が成し遂げたいことと会社から求められる役割がぴったり合致したケースであり、シナジーで選んだ復職だったと思います。
その後、ヤフーではモバイルの変革をある程度実現することができ、一段落がついたタイミングで、リンクトインへの移籍を決断しました。ヤフーでのシナジーが成就したので、次のシナジーを求めたというわけです。
強みを生かしながらシナジーを模索する
シナジーについて、以下のBさんをモデルに考えてみましょう。
36歳、男性Bさん。地方の国公立大学出身。22歳で入社したのはコピー機などオフィス機器を販売する中小企業。営業相手は主に中小企業(ルート営業)。現在、7年目で営業成績は部内で中間くらい。
Bさんは、転職して新規開拓営業にチャレンジしてみたいという思いがあります。この場合は、希望の裏側にある自分の思いや、何を目指しているのかといったことを自分自身で深掘りする必要があります。
例えば、今の仕事がルーティン化してしまい、このままでは大きな成長が期待できないと感じているとすれば、今までの強みを生かしながら、別の業界の営業職にステップアップする方法が考えられます。具体的には、法人向けのITシステムを新規で売りたいと考えている会社とのシナジーが成立する可能性があります。
シナジーを考えるときのポイントは、今やっている仕事、自分の強みを生かしながら、広い視点から探るということです。
例えば、Bさんが今の会社で営業をしている中では、顧客の話を聞く機会が多々あるはずです。ここで顧客の悩みやニーズを聞き出す経験を積み重ねておけば、顧客に共感できるスキル、顧客から課題を引き出すスキルが確立されます。
顧客に共感できるスキル、顧客から課題を引き出すスキルは、新規の顧客開拓にも必須のスキルと言えます。つまり、現在の業界だけでなく、別の業界にも横展開することが可能です。
このように、現業の中で自分の強みを明確化しておけば、シナジーで転職先を選ぶときの選択肢が増えるのです。
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