今後の金融市場はどうなるだろうか。筆者は、アメリカ救済法の後にバイデン政権が繰り出す財政政策運営が、2021年半ば以降の金融市場の姿を左右するとみている。バイデン大統領は選挙公約として、インフラ整備やクリーンエネルギーのための2兆ドル規模の大規模投資を4年間で実行することを掲げている。
金融市場が想定する最大のリスクとは何か
2021年10月から始まる会計年度の予算策定が今後始まる見通しだが、このプロセスでインフラ投資を中心とした追加財政政策がどう打ち出されるかが重要である。追加財政政策は、コロナ後の経済復活を後押しする「Build Back Better」(より良い復興政策)と称され検討されている模様である。この金額が2兆ドルからさらに上乗せされる可能性も十分考えられる。
検討中の復興政策で、どの程度予算が計上され、どのようなメニューになるかが判明していないので、現時点で追加財政政策への評価は難しい。だが財政政策の規模が膨れ上がると、その財源として増税(法人税、キャピタルゲイン税、高所得者への所得税など)がセットとなるプランが打ち出される可能性がある。
コロナ危機直後から約1年にわたり、大規模な財政政策は金融市場に総じて好感されてきたが、今後バイデン政権が打ち出す政策への評価は簡単ではない。財政政策の規模と内容次第ではあるが、大規模な政策が打ち出されても、増税が大きくなるため素直に好感される可能性は低いと見ている。
現状、バイデン政権の経済復調重視の姿勢が明確であり、民主党内のプログレッシブ(進歩)派が重視する再分配強化が重視されて、2022年から緊縮財政政策に転じる可能性は高くないと筆者は考えている。
ただ、増税色の強い財政政策が打ち出され、それを民主党の中道派が許容すれば、これまでの経済政策の方向性が大きく変わることになる。これが2021年の金融市場にとって筆者が想定している最大のリスクシナリオだ。逆に言えば、このリスクが顕在化しなければ、当面世界の株高基調は変わらないだろう。
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