1月に首都圏の1都3県で緊急事態宣言が再発令された状況下においても、企業業績は着実に回復へ向かっている。3月19日(金)に発売した『会社四季報』2021年2集春号では、コロナ禍を克服しつつある企業の実態が鮮明となった。
四季報予想を集計した結果、今期(2021年1月期~2021年12月期、対象3447社)の予想営業利益は前期比6.8%増の見通しとなった。25.1%の大幅減益決算だった前期を底に、小幅ながらも利益が反発する。
さらに来期は、回復の度合いが力強さを増す。空運の連続赤字、情報・通信業の営業益反落を除くほぼ全業種が増益となり、全体の営業増益率は20.3%になると予想している。
見出しランキングも様変わり
そうした状況は記事の見出しランキングにも端的に表れている。今号は上場企業の約7割を占める3月期決算企業の見出しは、来期(2021年4月~2022年3月)の内容を示すこともあり、見出しでもっとも多かったのが、【反 発】となった。今期は減益に沈むものの、来期は増益転換する状況でよく使われる。
2位から4位も順に【上向く】【復調】【浮上】と、ほぼ同じ意味合いの見出しが上位を独占した。前号では2位【反 落】、5位【続 落】、6位【赤字拡大】とネガティブな見出しが多かったが、様変わりした。
業種別に見てみよう。銀行業、保険業を除く31業種の中で、今期予想が営業増益となるのは食料品、医薬品、ゴム製品、ガラス・土石製品、非鉄金属、電気機器、その他製品、水産・農林業、情報・通信業、証券業の10業種だ。石油・石炭製品、鉄鋼は黒字転換する見通し。一方で陸運業、空運業の2業種が赤字転落となる。
上場市場別に見ると、今期の業績予想がいいのは新興市場(1部、2部、ジャスダックを除く市場)である。新興市場(337社対象)は、デジタル化を追い風にする企業が多く、営業利益は167.9%増と急伸する見通し。東証1部(1997社対象)の同7.4%増と比較しても好調ぶりが際立つ。
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