東京で物件100億買った男、今は大阪に夢中な訳 激しい競争を生き抜く金融機関の驚く行動

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活況の一方、東京では不動産融資が出にくくなっているのが問題だ。「スルガ問題以降はうちも不動産融資は減らしている。自己資金を多めに入れてもらう必要がある」(複数の金融機関)というのが、東京の一般的な空気感だといえよう。融資審査前に門前払いとなるケースも増えており、そのため、小資金の個人投資家やサラリーマン大家は沈黙している。

実際、不動産売買の参加者は、事業会社(非不動産の中堅企業)、地場の不動産業者、高齢地主の相続など、億単位の資金をすぐに出せるプレイヤーが投資家に代わって主役になった。富裕層限定の旧来の閉鎖的な不動産市場に戻ったともいえるだろう。このような融資環境では、東京の不動産にはなかなか手を出しにくい。

筆者も、例に漏れず東京では融資が出なくなった投資家の1人だ。そこで大阪に進出を決めた。大阪の不動産を簡単にいえば、東京よりも利回り換算で1%以上高く(物件価格が割安)、金融機関も不動産業者も熱心というところだろう。貝のように固く融資窓口を閉ざした東京の金融機関に比べて、大阪ではまだ金融機関が前向きであることは注目に値する。

特に大阪の信用金庫、信用組合は元気がいい。たとえば、信金担当が土日でも携帯に電話をしてくる。当日アポイントでも支店長が会ってくれる。支店同士で客を取り合う。その程度はまだ序の口かもしれない。大阪の商魂はたくましい。

よくしゃべる信金の支店長が放った衝撃の言葉

ある日、筆者は融資を申し込み中の信金担当に呼び出されて、急遽、大阪出張となったのだが、そこで待ち構えていたのは、よくしゃべる年配の支店長だった。

「(決算期である)3月中に間に合わせるならば、明日中に10億の物件を決めなければ間にあわへん。ウチは3月決算に向けて数字作らないといけないから忙しい。ゆっくりするならばまた今度にしてくれ!」とまくし立てられた。その様子は、さながら、漫画ナニワ金融道の帝国金融社長を彷彿とさせる、迫力のあるもので印象に残っている。

もちろん、10億円の物件を明日中に探してくるなど無理な話であり、支店長もそれは理解していたはずだが、どうやら、言いたかったのはそれだけではなかったようだ。

「大手仲介なんぞは、いい物件を持っていない。うちで地場の業者を紹介するからそっちと話したらどう? 他の客が持ち込んで途中まで融資審査を進めた物件がある」

実は、この大手仲介こそが筆者をこの支店に紹介してくれた紹介者なのだが、支店長は紹介者を抜こうとしていたのだ。信金は、地元の鏡となるような上品な取引しかしないという先入観のあった筆者には衝撃だった。

すぐさま大手仲介の担当に電話して事情を説明すると「いやー、大阪ではよくあるんですよね。困りますよね」と冷静であったことに再び驚いた。「大阪にそんなルールはない」とは筆者が大阪で活動して、すでに何度も言われた言葉だが、金融機関すらも品行方正とは限らないのは面白い。

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