東京で物件100億買った男、今は大阪に夢中な訳 激しい競争を生き抜く金融機関の驚く行動

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「大阪よりも、東京のほうが不動産はいいように思うんですけど、なんで大阪にきはった?」(大阪の地銀)

そう思う人がいても不思議はないが、実は、不動産投資において、どの物件を選ぶかはそれほど重要ではなく、その物件を買うべきか否かは、たったひとつの計算式で即座に判定できる。筆者がブレークイーブン売却価格と呼ぶ指標だ。

ブレークイーブンとは、購入時の通帳残高と売却後の通帳残高が同じになる、損得なしの売却価格のことだ。10年後にいくらで売れればブレークイーブンかをシミュレーションすればすぐにわかる。

低金利は不動産投資に有利に働く

筆者が大阪で購入した物件を例にとれば、購入価格は3.7億円、表面利回り7.7%、フルローン、期間30年、金利は約3%だ。経費率は37%と高めだが、適切に修繕を入れれば賃料下落は免れる物件とみている。

この物件を筆者の作成したシミュレーションにより計算すると、10年後の残債はちょうど1億円減って2.7億円となる。10年後に表面9.1%の3.1億円で損切りしても、まだ損益ゼロの計算だ。ここまでは下がらないことに賭けている投資だといえるが、勝算は十分だろう。

もちろん、予定通り空室が埋まる物件であることが大前提だが、仮に1%前後の低金利で借りていれば10年後に3割ほど地価が下落してもまだ勝ち目がある。このように下落耐性が十分であることが確認できれば、あとは少ない自己資金で購入することによりIRR(内部収益率、自己資金ベースで見た長期の利回り)を極限まで高められる。

このように考えれば、現在の低金利がいかに不動産投資に有利に働いているかを理解できるだろう。筆者は融資が出る不動産は今でもすべて買いだと考えている。

ちなみに、大阪に進出した筆者だが、大阪の不動産自体が魅力的かと問われれば、大阪が特に明るいわけではない。しかし、都市部は東京と連動するので問題はないと考えている。あえていうならば、東京の高騰に比べて出遅れ感のある大阪はもう少し上がってもおかしくないとは思うが、その程度の認識だ。

不動産投資は不動産そのものよりも融資に魅力がある。そして、大阪はまだ融資が出る。それが、筆者が大阪に進出した真の理由だ。

玉川 陽介 コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ代表取締役

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たまがわ ようすけ / Tamagawa Yosuke

1978年神奈川県生まれ。学習院大学卒業。コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ株式会社代表取締役。大学在学中に統計データ処理受託の会社を設立。同社を毎年増収増益で成長させ、2006年に売却。その資金で本格的に投資を始める。その後、国内外で不動産投資と証券投資を幅広く行う。自らの投資収益を主たる収益源としながら、経済誌への記事執筆も行っている。過去に学習院さくらアカデミー講師ほか金融経済の講演を開催。『不動産投資一年目の教科書』(東洋経済新報社)をはじめ、金融商品分析や不動産投資に関する著書は計14万部を超えるロングセラーとなる。近著に『Excelでできる 不動産投資「資産管理」のすべて』(技術評論社)

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