香港に中国流民主制、「暴走」はどこまで続くか 共産党主導の「法治」、見えぬ西側諸国の対抗策
中国が香港の統治システムから民主派を徹底的に排除するための選挙制度の見直しを全国人民代表大会(全人代)で決定した。その内容はわれわれの感覚からすれば、およそ「選挙」とはいえないものだ。
西側諸国は一斉に中国の対応を非難している。しかし、こうした批判は今の中国にとっては痛くもかゆくもないだろう。
中国は表向き、香港の「一国二制度」や「高度な自治」を認めている。しかし、今回の選挙制度見直しでそれらは完全に否定される。行政長官選挙や立法会選挙から民主派を排除する制度改正になぜいま踏み切ったのか。全人代での王晨・常任委員会副委員長の説明や人民日報の記事などから中国の論理を整理すると以下のようになる。
「愛国者」だけが統治を担う
香港はイギリスから中国に返還された時点で中国の国家統治システムに再び組み込まれた。香港にとって選挙制度は重要な政治体制の一部である。一方で、香港では近年、急進的分離主義者が「香港独立」などを公然と主張し、活発な運動をしている。その一部は立法院の議員であり、香港の行政を妨害した。
さらに外国勢力の干渉もあった。こうした動きは中国憲法や香港基本法への挑戦であり、国家にとって深刻な危機となる。その原因は香港の選挙制度に明らかな抜け穴があるためだ。したがって、選挙制度を改善し、愛国者を主体として香港国民が香港を支配できる制度が必要である。
つまり、香港の現行選挙制度には反体制派(民主派)が議会などに入り込むことを可能にする欠陥があり、それをふさいで体制に従順な愛国者だけが統治を担う制度を作るというのである。
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