日本企業がGAFAよりリシュモンに学ぶべき理由 コロナ禍でも売れ続けるブランドの強さの秘密

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日本企業にも取り入れられる、ラグジュアリーブランドの経営戦略とは(写真:sidelniikov/PIXTA)
一般企業、時に日本の中小企業で働く人や経営者にとっては謎が多く、遠い存在に思えるラグジュアリーブランド。不況でも長期的に勝ち続けているブランドは一見、華やかに見えて別世界のことのように感じるが、その経営戦略には意外にも日本の地場老舗企業の堅実な姿に通じるものがある。
元は山奥の小さな工房からスタートしたものづくり企業が、どんなブランディングをし、価値を普遍化させ、時代や環境変化を克服し、世界的なラグジュアリーブランドになったのか。『カルティエ 最強のブランド創造経営』の著者が解説する。

不況時にも強いラグジュアリーブランド

リーマンショックから13年、東日本大震災から10年、コロナショックから1年。大きな災いが起こるたびに、消費が冷え込み、「もうダメだ」と言われ、多くの企業が倒産したり縮小や買収の憂き目に遭うなど、今も暗いニュースが続いている。

『カルティエ 最強のブランド創造経営』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

不況になると一般的に消費マインドは落ち込み、真っ先に、生活必需品でないものや、高級品が売れなくなると思われがちだ。しかし事実は、そうではない。

実は、エルメス、ルイ・ヴィトン、シャネルといった欧州ラグジュアリーブランドは、そうした災いに直面すると、一時的には売り上げを落としても、不死鳥のごとくよみがえり、地道に売れ続けるどころか、かえって業績を伸ばすことすらある。

全事業分野が劇的な回復をしているとは言えないものの、2020年7~9月期に、エルメスは4.1%増収を達成、LVMHは好調な業績回復を受けて、2021年4月15日に開催される株主総会で増配を決定するなど、確実に強さを見せている。

リーマンショック、東日本大震災による不況時と同様に、今回のコロナ禍でも、価格も高く、不要品だらけのラグジュアリーブランドは、世の中の不況からは例外と言わんばかりに、「高くても売れ続ける」ブランドとして君臨しているのだ。

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