部下を「褒めて育てる」が必然的に失敗する理由 褒めても叱ってもNG、では上司はどうすべきか

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また、部下に頼んだ仕事の仕上がりが期待どおりでなく、褒めるどころか本音としては思い切りダメ出しをしたい場合はどうでしょうか。この場合も、「承認」は有効です。「そういうやり方もあるよね」「おっ、これは意外な展開」というように、部下のやろうとしたことをひとまず認めることはできます。これを見解の承認といいます。

こうした承認の言葉を普段から部下に伝えられていれば、部下のモチベーションを高めることに役立ちます。さらには、上司であるあなたから部下に対して建設的なフィードバックをする場合、部下が素直にそれを受け入れる素地をつくることにもつながるのです。

承認に使える具体的なフレーズ

ここで承認の具体的な方法を解説します。私は承認を大きく次の4つに分類しています。

【ケース1】
相手の言葉や存在そのものを承認する
【フレーズ】
〇〇なんですね(復唱)/そうなんですね/◯◯と言っていたね

『できる上司は会話が9割 「困った部下」が戦力に変わる、コーチングのスゴ技』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

【ケース2】
相手が達成した「成果」を承認する
【フレーズ】
すごいね/最後までやれたね/すばらしい成果!/達成できたね

【ケース3】
成果を出すための「プロセス」に焦点を当てて承認する
【フレーズ】
本当によく考えているね/順調に仕上がっているね/もう少しでできそうだね

【ケース4】
「合意はしないけど、見解については理解できる」ことを示して承認する
【フレーズ】
この状況なら、そう思うのは当たり前だよね/この状況ならそれは理解できるよ/そういう考え方もあるよね/それは新しいね 

ちなみに、承認の際の言葉がけは「手短に」を心がけましょう。要点を短く伝えることで、相手の耳に入りやすくすることがうまくいくコツだと思ってください。

林 健太郎 リーダー育成家 合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ

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はやし けんたろう / Kentaro Hayashi

一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏と出会い、プロコーチを目指して海外修行に出る。2010年にコーチとして独立。日本を代表する大手企業などで、のべ650人を超えるビジネスリーダーに対してコーチングを実施。『コーチング忍者の2分コーチング入門講座』を運営。著書に『できる上司は会話が9割』(三笠書房)。

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