部下を「褒めて育てる」が必然的に失敗する理由 褒めても叱ってもNG、では上司はどうすべきか

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「これではうまくいかない」という反省から、近年、人材育成において「(部下を)褒める」ことが重要視されるようになりました。これ自体は望ましい傾向です。しかし、冒頭で述べたように「うまくいっていない」と感じるリーダーが増えています。

その原因はシンプルです。皆さん、「褒め方」を間違っています。具体的に言うと、「褒める」を無意味に使いすぎてしまっているのです。その結果、何が起こっているのでしょうか。

1つ目が、「忖度する部下」が生まれてしまうということ。つまり、部下のほうが「何をすると、あなたが褒めるのか」を前もって敏感にキャッチし、「上司に褒めてもらえる行動」だけをとるようになるのです。

「褒める」が効かない2つの理由

なぜ、こんな現象が起きるのでしょうか。それは「褒める」行為には、上司の「主観」「判断」「都合」が入ってしまうからです。つまり、あなたの「意図」が色濃く反映されている。部下には「上司に評価されたい」という基本的な欲求がありますので、当然、あなたの意図を読み取ろうとします。

すると、あなたにとって「耳あたりのいいこと」だけを選んで発言したり、行動する部下が生まれます。その結果、部下はあなたの意に沿った「上司のための作業員」になってしまいます。

2つ目が、「褒める」を多用することで、部下が褒められることに慣れてしまい、もはや何を褒められたとしても心に響かなくなるのです。これでは、モチベーションアップにはつながりません。

また、部下本人が仕事の結果に納得していないときに、上司が気をまわして褒めたとしたらどうでしょう。その褒め言葉は、部下にはいかにも噓っぽく聞こえるはずです。モチベーションが上がるどころか、逆に下げてしまいかねません。

「褒める」が部下のモチベーションを上げるうえで、効果的な方法の1つであることは、私も否定しません。ただ、前述したように、無意味に使いすぎては機能しないのです。それでは、いつ褒めるといいのでしょうか? 私からの提案は、あなたが本心から「褒めたい!」と思ったときだけにすればいいということです。

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