部下を「褒めて育てる」が必然的に失敗する理由 褒めても叱ってもNG、では上司はどうすべきか

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では、それ以外のときは部下に対して無反応でいいのかというと、もちろんそんなことはありません。部下のモチベーションアップには、要所要所で部下の承認欲求を満たすような、上司の言葉と態度が欠かせません。

ここで、みなさんに日常的に使ってもらいたい「承認」について、解説しましょう。承認とは、簡単に言えば「相手の存在」を認めることです。相手がそこにいること、相手が行動したこと、相手が発言したことなどを、「気づいているよ」「見ているよ」「聞いているよ」「受け取っているよ」としっかりと相手に言葉で伝えるのです。

これが人間という存在の面白いところで、自分の存在や行為、発言といったものを相手に認めてもらえるだけで、承認欲求が満たされる傾向があります。ここからは承認には「褒める」と違って、あなたの主観がさほど入らないというお話をしましょう。

中立的で主観を挟まない「承認」

例えば、持ち物の財布を変えた相手に対して、「その財布、かわいいね」と言えば「褒める」ことになります。「かわいい」というのが、あなたの主観による判断だからです。一方、「あれ、財布を変えたんだね」と言えば「承認」です。この場合は、相手の状態・状況について触れただけで、あなたの主観による判断は入っていません。

このように、承認のほうが「褒める」に比べて、はるかに中立的な表現として相手に届きます。そのため、上司の意図を忖度させることなく、部下のモチベーションを高めていくことができると考えています。

さらに承認の利点として、「褒める」よりも使いやすいことが挙げられます。

例えば、確実な成果がまだ出ていない段階では、部下を褒めることは難しいでしょう。しかし、今の状況自体を承認することはできます。「進んでいるね」「その調子だよ」という言葉をかけることはできます。これをプロセスの承認といいます。

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