「外国人の日本株への興味が高まっている」 <株価展望> 強気派・ゴールドマンの見方

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建部和礼(たてべ・かずのり)/日本株ストラテジスト。早稲田大学政治経済学部卒業。リーマン・ブラザーズ証券会社、マッコーリー・キャピタル証券会社を経て2009年ゴールドマン・サックス証券会社入社。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)(写真はゴールドマン・サックス証券提供)

――日本の株式市場では昨年秋以来、外国人投資家が買い越しに転じていますが、彼らの日本株に対する見方はどうですか。

間違いなく日本株に対する興味は高まっている。グローバルな景気回復局面のとくに初期段階においては、シクリカル系バリュー株(景気敏感系の割安株)が多い日本市場はアウトパフォーム(相対的に上昇)しやすく、昨年11月から外国人投資家が入ってきたのはそうした背景がある。

また、外国人投資家からは、「シクリカル性を超えて日本株がグローバルでアウトパフォームしうる何かがあるか」という質問も受けている。それに対して私は2つの点を挙げている。

外国人はなお大幅なアンダーウエート

1つは、2013年以降続くコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革が勢いを増していること。単純なガバナンス改革だけでなく、敵対的買収を含めたM&Aの増大など日本市場は確実に変わってきている。

もう1つが菅義偉政権による改革、いわゆるスガノミクスだ。アベノミクスの3本目の矢である成長戦略は失望を招いて2015年以降の外国人売りにつながったが、スガノミクスによる生産性向上が進めば、期待値があまり高くない分、ポジティブサプライズになりうると話している。

――外国人の買い越し基調は今後も続きそうですか。

昨年11月から外国人は(現物・先物を合わせて)約4兆円買い越したが、長いスパンで見ると、2015年以来の売り越しは累計30兆円近くに及んでいる。依然として日本株に対して大幅なアンダーウエート(低い組み入れ比率)であり、見直し余地は大きい。

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