中国に禁輸された台湾パイナップル問題の本質 蔡英文政権の対外経済政策に農家から批判の声も

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パイナップル輸入停止問題について、厳しい目が向けられているのは中国だけではない。台湾では蔡政権の対外貿易戦略を疑問視する声も上がっている。

国会に相当する立法院で、最大野党の中国国民党(国民党)の費鴻泰議員は、蔡総統は2016年に就任して以来、自ら打ち出した対外経済政策である「新南向政策」で経済面での中国依存度を低下させリスクを分散させると表明したにもかかわらず、実際はいくつかの果物の輸出で中国への依存度は低下するどころか高くなっているという。

中国向けが多くを占める農産物が他にも

統計によると、2016年に輸出された台湾産パイナップルのうち95%を中国向けが占めていた。その比率は2020年には97%と2%増加している。また、パイナップルの対中輸出量は、2016年が2万7855トンだったのに対し、2020年は4万2121トンと51%も増加。その中国への輸出量は、新南向政策のターゲットである東アジアやASEAN諸国の10倍以上にあたるのだ。

「パイナップルを食べて農家を応援しよう!」と、蔡英文総統は呼びかけた。しかし、その農家から彼女の対外経済政策に批判が高まっている(写真・蔡英文総統のFacebook、2021年2月26日投稿)

費鴻泰議員は台湾で生産されるパイナップルのうち10%が中国向けであることを挙げ、さらに台湾の特産フルーツの1つである釈迦頭(バンレイシ)に至っては、生産量の20%が中国向けであることを指摘した。釈迦頭の対中輸出量も2016年の1万211トンから、2020年には1万3588トンと33%も増加している。

パイナップルに続き、輸入停止が目されているレンブ(蓮霧 / ワックスアップル)に至っては、2016年の対中輸出量が2836トンであるのに対し2020年は4792トンと増加率が69%にまで上っている。

一方、農業委員会は会見を開き、台湾産フルーツの中国以外への輸出額は増加傾向にあるとしている。2016年の台湾産フルーツの対中輸出額は2400万USドル(約26億円)、2019年には3700万USドル(約40億円)、そして2020年には5200万USドル(約56億円)であるという。個別の輸出額では、パイナップルの中国以外への輸出額は2020年が487万USドル(約5億2000万円)で2019年から164%増、レンブは83万USドル(約9000万円)と77%増とのことだ。

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