スズキ、修会長退任後に直面する「2つの難題」 今後のカギを握る「電動化」と「インド市場」

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トップダウンだった修氏時代と経営スタイルは大きく変わる。修氏は自身の退任に際して、常務役員5名を専務役員に昇格させる人事も決めており、従来は1人だった専務役員を4月以降は6人に増やす。

スズキは国内軽自動車市場でダイハツ工業と並んで3割のシェアを握る(編集部撮影)

その中には、デンソー出身で四輪パワートレイン技術本部長の山下幸宏氏(2018年入社)、トヨタ自動車から2020年に招いた社長補佐の石井直己氏(6月からは経営企画室長を兼任)らも含まれる。俊宏社長を6人の専務役員らがサポートする「チーム・スズキ」で知恵を出し合い、自動車産業の大変革期を乗り切ってほしいとの思いが込められている。

ようやく実現するスズキの経営の世代交代。しかし、新経営陣が乗り越えるべき壁は高い。会見の席上、俊宏社長自身が「CASE対応の遅れなど多くの課題が社内に残っている」と認めたとおり、特に電動化は最重要課題だ。

菅義偉首相が2050年のカーボンニュートラル実現を目指すと宣言し、国として2035年までに乗用車の新車販売すべてをHV(ハイブリッド)やEV(電気自動車)などの電動車にする国家目標を設定した。日本独自の小型車規格である軽も乗用車として一律に同じ目標が課せられ、本格的な電動化対応は待ったなしだ。

簡易型HVの限界

スズキは軽自動車業界の中ではHV化で先行してはいるが、あくまで「マイルドHV」と呼ばれる低コストの簡易型にすぎず、燃費改善効果も小さい。国をあげて二酸化炭素の排出量削減を目指す中、登録車と同じ「ストロングHV」の導入が避けて通れないが、軽自動車や小型車を専門とするスズキならではの難しさがある。

資本提携関係にあるトヨタからHV技術の提供を受けることは可能だが、サイズや排気量の大きな登録車用の技術の転用ではコストが高くつく。軽は車両価格の安さを売りにしているだけに、それで大幅に価格が上がれば、存在意義自体が薄れかねない。このため、軽などの小型車に最適な低コストのストロングHV技術の独自開発を目指す。また、将来のEV化に向け、トヨタとプラットフォーム(車台)の共同開発にも取り組む。

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