台湾オードリー・タンが目指す「革命」の超本質 ソーシャル・イノベーションが必要な理由

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彼らはソースコードの共有プラットフォームGitHubを買収し、このソーシャル・イノベーチブなプラットフォームをコア戦略に据えています。このように、これまで自分たちが書いたコードは絶対に共有せず、単独で闘うのが主流だったビジネスの世界でも、現在のソーシャル・イノベーションの潮流の中では皆がオープン性を受け入れています。その流れで、最もオープンではないAppleでさえも、彼らのプログラミング言語Swiftを社会に対してオープンにしました。Swiftを使ってコードを書けば、LinuxやWindowsにおいてもAppleのアプリケーションを動かすことができます。これまで密室で行われていた製造が、開かれた場所でされるようになった。この変遷こそがソーシャル・イノベーションです。

私がいちばん初めにソーシャル・イノベーションに触れたのは、こういった自分の領域における出来事でした。オープンデータやオープンガバメントなど、今、私が推進していることはこのオープンソースの概念を広げたもので、根底は同じなのですよ」

フリーソフトやオープンソースが進んでいる国は、その国の人権保護も前に進んでいる。そしてその逆もまた然り、と私には思える。

デジタル担当大臣流「ソーシャル・イノベーション」

オードリーは政府内でソーシャル・イノベーションを推進するだけでなく、自らも実践している。その1つが、ソーシャル・イノベーションの推進を国策の1つにしてみせた〈ソーシャル・イノベーション推進アクションプラン〉の立案と実施だ。

「私が入閣する前、馮燕元大臣が4年にわたる〈社会企業アクションプラン〉により、基礎となる大部分を作っておいてくれました。私が入閣した後に行ったのは、未成年など投票権のない国民にも公共事務に参加できるようにしたこと、つまり民主化を深める作業です。それと、グローバルパートナーの考え方を用いて、SDGsを共通の目標にして世界とつながろうと提案したことですね。

民主化を深めることや世界とつながることについて、反対する人は台湾にはいませんから、私は誰のことも説得する必要はありませんでした。それに、もともと〈社会企業アクションプラン〉を推進する中でも、同じことを提議している民間の仲間たちがいたのです。私はただ、彼らの考え方を行政院が認める文字に変換しただけですよ。

簡単に言うと、行政院の予算は1年に1度だけ編成されますから、何か自分が新しくしたいことがあっても、なかなかすぐに反応できません。それに1元が作り出すのは1元の効果です。けれど、民間のイノベーションでは、1元が3元の効果を作り出すこともできるかもしれませんと、だいたいこのようにして説明しました。ソーシャル・イノベーションが、変換のカギです」

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