台湾オードリー・タンが目指す「革命」の超本質 ソーシャル・イノベーションが必要な理由

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そして、ソーシャル・イノベーションを掲げるオードリーや、シビックハッカーらの活躍もあって、台湾は新型コロナウイルスの抑え込みに成功し、世界に対する存在感をいっそう強めることができた。そういった意味でも、「1元が3元の効果を作り出す」を実現しているように思う。

誰もが社会をよくしたいと思う時代

「ニューノーマルという形式の新しい現象の1つに、インターネットユーザーが新しい問題の解決に直接参加したいと思うことが挙げられる」「新しい問題を自分の手で解決したい、解決に参加したい、貢献したいという精神的な面も大事になると思う」

これは、2020年9月、オンラインカンファレンス〈LINE DAY 2020 ―Tomorrow’s New Normal―〉でオードリーと対談したLINE代表取締役CWOの慎ジュンホの言葉だ。これは私も大いに感じていたことだった。では、今どうしてそのようなムードがおのおのの中に芽生えてきているのだろうか。改めて、オードリーにどう思うかを聞いてみた。

「これまでは、学業を終えて社会に出ないと社会貢献ができないと思われていました。でも今は違います。今は誰でも携帯電話を持ちさえすれば社会に出ることができます。つまり社会の誰かに対して影響力を発揮できるということです。これが最大の違いでしょう。

私が15歳で起業した当時、周囲は普通ではないと思ったようですが、今は15歳くらいで大きな社会運動を起こす人だっています。グレタ・トゥーンベリさん(スウェーデンの環境活動家)が金曜日に学校へ行かず街頭で抗議しているのも、皆、普通に受け入れていますよね。最も大きな変化はインターネットの普及だと思います。

これはソーシャル・イノベーションにも大きく関係してきます。たとえば18歳以下の若者たちに投票権がないからといって、SDGsの問題解決に彼らの意見が取り入れられないのはアンフェアです。気候の変化にしても、最も影響を受けるのは18歳以下の彼らなのですから、彼らの意見が私たちより重要視されて当然なわけです。投票権がないから彼らの意見が重要ではない、そんな考えはあってはなりません」

話せば話すほど日本との差が見えてくるような気がして、私は少しうなだれてしまった。そんな私にオードリーは言う。

「日本にも〈Society 5.0(*)〉という政策がありますね。それに、SDGsのパフォーマンスも日本は現在17位で、アジアでもトップクラスです(表参照)。とはいえこれは国連加盟国を対象に行われた調査で、加盟国ではない台湾は対象になっていないのですが(笑)。

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