台湾オードリー・タンが目指す「革命」の超本質 ソーシャル・イノベーションが必要な理由

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出典:The Sustainable Development Report、based on the publication Sachs et al. (2020):The Sustainable Development Goals and Covid-19.Sustainable Development Report 2020. Cambridge:Cambridge University Press.

日本はSDGs達成に向けて、とてもよくやっている国の1つだと私は思います。私が日本に行ったとき、どの場所でも17色のSDGsカラーを見かけました。あの〈PPAP〉のピコ太郎さんがSDGsを広める動画もありました。

社会、経済、環境など、どの目標も相殺されず、お互いを強化するという概念、平和的で協力的な姿勢が必要です。これも日本では非常に重視されている伝統だと思います。日本では大地震などの災害が起きるたび、企業で働く人やソーシャルワーカーらが皆で一緒に問題解決に当たっています。私はいつもその姿を見てきました。

日本の課題は取り組みを「オープン」にすること?

日本政府に課題があるとするなら、これらの問題解決に取り組んでいるのは民間ばかりだと、国民から思われていることのように思います。政府が何をしているのかを国民に知らせるためには、非常に長いプロセスを経なければならないようですね。政府が決してSDGsに取り組みたくないわけではないことは、日本の皆さんにも伝わっていると思います。

ただ、何をしているのかを伝える機会が1年に1度だったりするわけですね。台湾政府のように1週間や1カ月に1度という感じではありません。そして日本には今のところ、私のように『毎週水曜日、私に話をしに来てください』などという大臣はいません。私には、ただこの政府の取り組みを国民に知らせる即時性や頻度に違いがあるだけで、SDGsの知名度は日本と台湾に差がないように思えます」

※ Society 5.0 とは
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。2016年から2020年に実施される第5期科学技術基本計画において、日本が目指すべき未来社会の姿として提唱されたもの。(出典・参考:内閣府ウェブサイト)

台湾であっても日本であっても、もしかしたら私たちはソーシャル・イノベーションという概念を意識しないまま、それに近しい小さな行動を日常的に行っているかもしれない。でも、視点を変えるだけで、違う場所で自分と同じように社会をよくしたいと思っている人とともにつながり、より実現の可能性が高まるのかもしれない。

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