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本書はこの『一般理論』の超訳/抄訳となる。原文をかなり端折った、ということだ。が、世に出回っている、かなりいい加減でまとめ人の勝手な書き換えだらけの超訳/抄訳とは一線を画した(つもりではある)。その方針としては以下の通り:
• 原文の重要な論理の流れを重視する。それに伴う附随的な説明や脱線、引用は削る。
• なるべく原文を重視しつつも表現の現代化を図る。古い大仰な言い回しで意味がとりにくくなっている部分は現代的に書き直す。
• 小ネタや有名用語は、原文の文脈がわかるようにその部分を全部残す。
でも、そこで言う「原文の重要な論理の流れ」とは何か? ぼくは以下のようなものだと考えている。
1 雇用、特に労働は名目賃金が簡単に下がらない。だから価格を通じた市場での需給調整はきかない。
2 その場合、雇用は経済全体の総需要で決まる。これが経済の供給能力より低いと失業が起きる。
3 総需要は、消費と投資に分けられる。
4 消費は、かなり一定だ。だから需要が十分かどうかを左右するのは投資だ。投資が足りなければ、政府が公共投資をして補うべきだ。
5 民間の投資は、投資プロジェクトの期待収益率と金利で決まる。期待収益率が金利より高いプロジェクトが実施される。
6 期待収益率は、あまりはっきりわからない。株式市場もその評価のあてにはならない。だから投資を増やすには金利を下げるべき。
7 金利は、人々が流動性=現金を手元に持ちたがると上がる。中央銀行がお金を刷って人々に配れば、みんな満足するので金利は下がる。
8 現金をどのくらい持ちたがるかは、実体経済とは連動しない。だから失業がなくなる水準まで金利が自動的に動いたりはしない。失業があるほうが一般的で、完全雇用のほうが特殊なのだ!
多くの経済政策は『一般理論』に基づいている
これ自体、特に異様なものとは思えないはずだ。というのも、アベノミクスを含め、いまの多くの経済政策は、基本的にこの理屈に沿って行われているからだ。不景気なら、中央銀行が金融緩和をして金利を下げ、投資を促進しよう。さらに政府が財政出動をして需要をかさ上げしよう─―こうした政策はまさに、このケインズの『一般理論』に基づいたものだ。
『超訳 ケインズ「一般理論」』ではこの流れをハイライトできる部分をできる限り選び、通読して理屈が通るようにしてみた。もちろん、少し古い文だし、どこまでわかりやすくできるかは限界もある。が、まずはお読みいただこう。