「ボケやツッコミ」がなくても面白い話できる訳 雑談で笑いを取るのに高度なテクニックは不要
その場合、おもしろい話は「副産物」であって、一番の価値は、「人間関係が円滑になり、いろんな人に魅力的な人物と思われること」とも言えるかもしれません。
一方、フリ・ボケ・ツッコミという技術を駆使しておもしろい話を作るのは、これとまったく異なる仕組みになっています。そういった技術を駆使する人は、聞き手の先入観を予想し、それを狙って突き崩すことで、意図的におもしろい話を作ることを目指している人がほとんどです。
しかし、相手が何をおもしろいと思うのかは、その聞き手が何を知っているかに大きく依存します。だから、聞き手の先入観を予測する高い技術が必要です。
さらに、そんな聞き手の先入観を予想し、それを崩すことを長期的に狙い続けるには、ある程度「こういう人たちに向かってネタをする」というように、対象を定める必要もあります。
だから、どんなに上手な人でも、笑いを取りやすい特定の集団があります。言い換えれば、フリ・ボケ・ツッコミなどの技術に頼って誰かを笑わそうと思えば、ある意味で、その瞬間から万人にはウケないという宿命を背負ったことになります。
実際、プロのお笑い芸人だって、自分のターゲットの人々には「おもしろい」と言われていて愛されていても、別の人には嫌われているなんてことは、ザラにあります。
特定の人々を対象にしたテクニックの難しさ
そんな、自分のことを嫌う人を生み出す可能性があるうえに、とても高度な笑いの技術であるフリ・ボケ・ツッコミを、普通の人が適切に使いこなせると思ってはいけません。クラスや職場にも、「自分はおもしろい」と思い込んでいるようですが、ごくわずかな人以外からは、白い目で見られているような人はいませんか? そういう人は、この部分に気づいていないのです。
そのほかに、「女子にウケる〇〇トーク術」というような、特定の人々を対象にした「おもしろい話」の作り方が解説されることもあります。例えば、女子はダイエットの話に決まって食いつくので、ダイエット関連でこんなネタを仕込みましょうというようなテクニックです。しかし、これも普通の人には難しすぎます。
なぜなら、対象とする人の属性を絞っても、その時々の状況は個々人によって違いすぎるので、そうした話題を瞬時に合わせてカスタマイズする技術のない人にとっては、かなり難しいからです。
例えば、ホストの先輩が後輩に、20代の女の子のお客さんにウケるトークなどを伝授することは仕組み的に可能です。なぜなら、見た目の雰囲気や年齢などが、同じ店のホストであればかなり近い可能性があり、その店のターゲットのお客さんも似ている人たちだからです。
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