アメリカの経済成長率は10%接近の可能性

<金利・株価乱調>NYの専門家に聞く

ニューヨーク中心街も景況感はようやく底打ちムードになってきた(写真:ブルームバーグ)
アメリカ発の長期金利上昇と株価波乱が日本をはじめ世界の金融市場を不安定にしている。アメリカの景気や経済対策、金融政策の行方などについて、大和総研ニューヨークリサーチセンターでアメリカ経済・金融担当の研究員を務める矢作大祐氏に聞いた。

――最近のニューヨーク(NY)の景況感はどうですか。

NYでは1月初頭に新型コロナウイルスの感染者数がピークを打ち、緩やかに減少している。バレンタインデーのころから定員客数の25%を上限にレストランの店内営業が再開され、外出する人が少しずつ増えてきた。それまでは記録的な大雪と寒波もあって中心街のタイムズスクエア周辺でも夜はほとんど人通りを見なかったが、最近は気温も10度くらいまで上がり、夜8~9時でも人が出歩いている。景況感が底入れした感じはある。

ただミュージカルの劇場などは閉まったままで、テレワークの定着で郊外へ脱出した人も多い。元のNYらしさを取り戻すにはまだほど遠い状況だ。

長期金利は2%でもおかしくない

――アメリカの長期金利上昇、株価の高値波乱が世界的なマーケットの動揺につながっています。

われわれの現在の予想では、2021年のアメリカの実質GDP成長率は前年比5.8%(2020年はマイナス3.5%)。G7の中で唯一、2021年中にコロナ禍前の水準に回復する。それほど経済は堅調であり、株高や金利上昇は理解可能な範囲だと考えている。

しかも、5.8%成長というのは、2月末に下院を通過した1.9兆ドル(約200兆円)の追加経済対策(新型コロナウイルス対策法案)の効果を含んでいない。もし満額で上院でも可決されると、恐らく成長率は10%ぐらいまで高まる。それを考えれば、最近の長期金利(一時1.6%台へ上昇)は上がったとはいえ、まだまだ低い。2%ぐらいあってもおかしくはない。

ただ、やや気持ち悪いのが、上昇ペースの速さだ。債券市場も慌てふためいている感じがある。FRB(連邦準備制度理事会)がつれない回答をしているからだ。「景気の上振れ期待で金利が上昇している」といった見方を示しており、金利上昇を容認しているようにも見える。もし「金利上昇は速すぎる」と言えば、もっと落ち着いていたはずだ。

市場参加者と話をすると、「市場は今、FRBを試している」という。2月下旬にFRBが長期国債をやや多めに買った時には「パウエル騎馬隊が出た」との声も出たが、これが「戦車隊」くらいになれば(金利抑制という方向へ)市場のムードも変わるだろう。

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