アメリカの経済成長率は10%接近の可能性

<金利・株価乱調>NYの専門家に聞く

――1.9兆ドルの経済対策の効果は。

矢作大祐(やさく・だいすけ)/2012年大和総研入社。2013年財務省へ出向、国際金融規制などを担当。2015年大和総研へ帰任、金融・資本市場調査を担当。2016年中国社会科学院で訪問研究員。2017年大和総研へ帰任、同調査担当。2019年からニューヨークリサーチセンターでアメリカ経済・金融を担当、現在に至る

特に、1人当たり1400ドルの現金給付が個人消費を押し上げる。コロナのワクチンが普及して人々の不安がなくなっていく中で追加的に給付されるので、貯蓄するより消費しようという気持ちが強くなる。また、インフレ予想が高まって現金が実質的に目減りするという意識になれば、今使おうという動きが強まり、消費が思った以上に伸びることが想定される。

――議会では満額に近い形で通るでしょうか。

上院において民主党はギリギリの主導権(半数の50票+議長票)ではあるが、市場は少なくとも1.7兆ドル規模で通ると見ている。民主党としても2022年秋の中間選挙を意識して満額に近い形での可決を目指している。

年内に環境投資減税が可決も

――バイデン政権は4年間で2兆ドルの環境インフラ投資計画も掲げています。

年内に議会を通過させたい意向だ。ただ、橋などのインフラやソーラーパネルなどへの投資は義務的経費ではなく裁量的経費であり、フィリバスター(上院での議事妨害)を回避するための財政調整措置が使えない。そのため、上院の50票では通らず、インフラ投資は当面盛り込めないだろう。

ただ、企業の環境投資を対象とした減税については義務的経費なので財政調整措置が使える。数千億ドル規模だろうが、年内には可決されそうだ。そして2022年の中間選挙でもし民主党が大勝すれば、裁量的投資のインフラ投資も追加で可決される可能性が高まる。それがバイデン大統領の狙うサクセスストーリーだろう。

――そうなると2022年も高い経済成長率が見込めるということですか。

環境投資減税などを含まなくても2022年は4%程度の成長を予想している。減税などが加わればさらに1~2%上乗せされる可能性がある。

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