アメリカの経済成長率は10%接近の可能性 <金利・株価乱調>NYの専門家に聞く

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長期金利の急変を受けて株価が乱高下するNY証券取引所(写真:ブルームバーグ)

――一方でバイデン氏は富裕層や企業に対する増税も提案しています。

バイデン氏が「高圧経済」を推進するのは、格差是正につながる最低賃金の引き上げと増税をやりたいため。これらが景気を下押しするので、その前に追加経済支援やインフラ投資で景気を押し上げておこうというわけだ。

時給を7.25ドルから15ドルに引き上げる最低賃金引き上げ案は、議会予算局(CBO)が雇用を2025年までに140万人減少させると試算しており、経済対策からも外され頓挫している。一方、増税案についてはやるとすれば今年しかない。来年には中間選挙があり、景気を下押しするようなことはできない。

結局、総合的に考えれば、実質経済成長率の着地点としては2021年が8~10%、2022年が4~6%程度になるのではないか。

来年初頭にはインフレは2%超へ

――現在1.5%程度のインフレ率はどうなりますか。

イエレン財務長官とパウエルFRB議長は、インフレの上昇は一時的なものと言っている。その説明としてフィリップスカーブのフラット化を指摘する。つまり、失業率が下がっても物価が上がりにくくなっているため、それほど気にする必要はないということだ。

ただ、潜在成長率と実際の成長率の差分であるGDPギャップは現在8000億ドル程度だが、1.9兆ドルの経済対策によって解消される見通しだ。そのため、2022年にかけてインフレ率が上昇すると考えるのが自然であり、一時的要因を除いても年末から来年初頭にかけて2%は超えてくるだろう。来年は緩やかな上昇か横ばいとしても、FRBが設定する2%の平均インフレ目標との兼ね合いで金融政策をどうするかという議論が出てくるはずだ。

――金融緩和の縮小が早まるのでしょうか。

利上げに関しては2024年以降といった見方はまだ変わっていない。難しいのがテーパリング(量的緩和政策による資産買い入れ額の漸減)だ。FRB内部でもパウエル議長はまだ議論したくないとの考えだが、他のFOMC(連邦公開市場委員会)参加者は今年後半には議論はありうべしとの立場であり、やや開きがある。

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