航空機をリサイクル、日本初のビジネスが離陸 静岡県の産廃会社が研究、2023年にも実現へ

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しかし、遠藤部長によれば、「スキームはトップシークレットでいま話すわけにはいかないが、この壁を突破するアイデアは見いだしつつある」といい、日本初の航空機リサイクルビジネスの実現性が高まっている。

同社は現在、国土交通省航空局などと協議を重ね、航空関連企業や自治体などと構成する「航空機リサイクル研究会」で制度設計を詰めている最中だ。

では、国内初となる航空機の解体・リサイクル事業は、いつ、どこで実現されようとしているのか。関係者によると、福島空港とその隣接地での実現を目指して福島県と協議を続けており、すでに用地の目星もついているという。

目指すはスペインのビジネスモデル

モデルとしているのは、スペイン・アラゴン州のテルエル空港だ。2013年開港の同空港は、飛行機のメンテナンスや駐機、解体、パイロットの訓練などが行われる専用の空港で、旅客の乗降はない。同時に250機まで駐機可能なほど広く、長期間飛行機を停留させられるよう駐機料は通常の旅客空港の半分以下という。

この空港にいま、世界中のエアラインから、運航停止で余った機材がどんどん運び込まれている。2020年夏には、スペイン国内の空港で着陸・駐機などの稼働率トップに躍り出たほどだ。テルエル空港は駐機料が安いだけでなく、運航を止めた機材を長期間保存するのに適当な乾燥した気候で、メンテナンスのスタッフも充実している。自ずと航空機のビジネスセンターとしての機能も果たしている。

静岡県富士宮市のエコネコル本社(記者撮影)

エコネコルの石井裕高専務は、「いま、コロナ禍による航空不況で、地方空港もかつてないほど疲弊している。そうした中で、テルエル空港のようなビジネスモデルを実現して、地方創生を後押ししたいというのがわれわれの究極の目的だ」と話す。

エコネコルは「航空機リサイクルパーク構想」と名づけ、福島空港を軸に、早ければ2023年までの一部開業に向け調整を続けている。

世界各地にある「飛行機の墓場」は、ビジネス機能のみならず、観光スポットとしても人気がある。日本の新たな産業として、航空機リサイクルパーク構想は離陸できるのか。

森 創一郎 東洋経済 記者

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もり そういちろう / Soichiro Mori

1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリー記者を経て2006年から北海道放送記者。2020年7月から東洋経済記者。

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