63歳の親との「実家じまい」で得た意外な気づき コロナ禍で会えない中、近くに呼び寄せる手も

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”実家じまい”に成功した大井さんが今いちばん伝えたいことは「実家と親の今後をどうするかについて、まずは家族で話してみてほしい」ということだ。

「今回メリットに感じたのは、親が当時63歳と若かったことです。まだ主体的に物事を判断でき、変化に順応できる年代。私もフリーランスという不安定な立場だったので、しっかりとサポートできるかどうかの心配もありましたが、親や自分の若さ故に乗り越えられた部分もあります。

”実家じまい”をするかどうかはその方の状況次第ですが、なるべく早いタイミングで、親御さんと向き合って、今後の暮らしや家について話し合うことをおすすめしたいですね」(大井さん)

実家じまいのメリットに目を向ける必要も

話し合いをすることによって、思ったよりも早いタイミングで両親が上京することになった大井家。結果的に満足しているとのことだが、”実家じまい”は、親にとっては長年住み慣れた地元を離れること。また子にとっては帰る故郷がなくなることでもある。話し合いの過程でセンチメンタルな気持ちにとらわれることはなかったのだろうか。

「親は地元に根を張って自営業を営んでいたので、もっと抵抗を感じるものかと思ったのですが、わりとサバサバとしていましたね。それよりも我が子や孫の近くにいられることがうれしいようです。東京に住んでいる私や弟にとっては実家は思い出の詰まった大切な場所ですが、”実家じまい”をしたことで、実は両親はそこで暮らす不便や不安を我慢していた部分もあったと知りました。

『親は故郷で幸せに暮らしているだろう』というのは、両親を故郷に留め置きたいという私の無意識のエゴで、私たちが故郷を恋しく思う気持ちが、逆に両親を実家に縛り付けていたのかもしれないとも思うのです」(大井さん)

故郷は自分を育んでくれた思い出の場所であり、いざとなったら帰れる場所。そんな子どもの郷愁が、今もそこに住まう両親の思いや現状から目を背けさせてしまうことも、あるのかもしれない。

コロナ禍で今後の先行きが不安定な今だからこそ、”実家じまい”のメリットにも目を向けて、思い切って両親と向き合ってみてはどうだろうか。

蜂谷 智子 ライター・編集者 編集プロダクションASUAMU主宰

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はちや ともこ / Tomoko Hachiya

東京都出身。上智大学大学院文学研究科博士前期課程修了。語学教材の専門出版社を経て2014年よりフリーランスのライター・編集者として活動。住宅・教育分野の執筆多数。

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