日本も無視できず「EUでワクチン遅延」の大問題 域内生産しているにもかかわらず接種率が低い
EUによるワクチン供給の遅れに業を煮やし、独自に調達を始めた加盟国もある。日頃から独裁統治と独自路線でEUから批判されるオルバーン・ヴィクトル首相率いるハンガリーは、中国の製薬会社シノファームが開発した新型コロナウイルスワクチンを2月16日に入手し、接種を始めた。
というのも、加盟国はEUが合意していないワクチンメーカーとの個別交渉が許可されている。ハンガリーはロシアのスプートニクVワクチンの購入にも同意している。スペインもロシア製ワクチンを拒まないとしている。
ワクチンに対する不信感も
接種遅延には、ワクチンへの不信感の広がりもある。例えば、今年1月、EUの医療規制当局は、すべての年齢層にアストラゼネカワクチンを使用することを承認した。それにもかかわらず、フランス、ドイツ、イタリアを含む多くのEU諸国の規制当局が、65歳以上の人々に使用すべきではないと勧告したことで、ワクチンへの不信感が高まった。
フランスのマクロン大統領は、アストラゼネカ製ワクチンは高齢者には効果がないと発言。アストラゼネカ社は「なんの科学的根拠のない発言」と強く批判し、発言は撤回されたものの、一度広まった噂は今も影響を与えている。
イギリスではワクチンに関する情報開示を随時行い、透明性を高めるだけでなく、不必要なネガティブ情報を流さないようメディアが気を付けている。一方、EUのメディアは科学的根拠のないネガティブ情報も流す。
EUの官僚主義を一朝一夕に変えることは難しい。とはいえ、今回の新型コロナのような、人の生命がかかっているときのリスク対応という点では、大きな足かせとなっている。
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