奥歯がない人ほど「太りやすくなる」科学的根拠 歯磨きで「出血が止まらない人」ほど要注意

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歯周病の直接の原因は歯垢(プラーク)ですが、間接的にはさまざまな要因があります。たとえば喫煙者は、非喫煙者の2〜8倍も歯周病になりやすい、というデータがあります。たばこの煙には3000種類もの化学物質が含まれ、有害物質は200〜300種類にのぼります。これらの物質が歯ぐきの血流を妨げ、防御機能を弱め、細菌の増殖をうながします。

また、精神的なストレスなどが要因で起こる歯ぎしりや、歯並びの乱れ、噛み合わせの不良も、歯周病のリスクを高め、進行を加速させます。

私たちの口の中には、ふだんから無数の細菌が常在しています。腸の中に善玉菌や悪玉菌、そして、通常の状態では良いことも悪いこともしない日和見菌がバランスをとっていて、それらは腸内フローラ(フローラとは“お花畑”の意味)と呼ばれています。

口の中にも同じように、むし歯や歯周病をもたらす悪玉菌と日和見菌がいて、口内の健康が保たれていれば、バランスがとれている状態です。ところが、食生活の乱れや歯のケアをおこたったり、ストレスなどで口の中の細菌バランスが崩れたりすると、悪玉菌が多く繁殖することになります。

そんなときに、歯周病になって歯ぐきから出血したりしていると、歯ぐきの血管から細菌や毒素が血液の中に入り全身に回ります。これが「菌血症」といわれる、血流に細菌が存在する状態です。健康な人であれば、血液中の白血球が細菌や毒素を処理し、一過性の菌血症で終わり、大きな問題にはなりません。

「たかが歯の病気」とあなどるなかれ

歯周病が悪化して細菌や毒素が多く体内に回っているにもかかわらず、体の抵抗力が低くなっていると、全身のさまざまな臓器に悪影響を及ぼすのです。

このように、歯周病はたかが歯の病気とあなどれない怖さを秘めています。繰り返しますが、歯の健康は健康寿命と密接に関係しています。そして、その大きなカギを握るのが歯周病予防なのです。歯周病は、口の健康だけでなく、血液を介して全身に悪影響を広げるやっかいな病気なのです。

誰もが気になる肥満ですが、これも歯の健康状態と密接な関係があります。肥満とは、体脂肪が過剰に蓄積した状態をいい、体内に取り入れられた脂肪分が、筋肉のすき間など全身のさまざまな部位に入り込み、付着する状態をいいます。

肥満には、内臓のまわりに脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満と、下腹部や腰まわり、お尻などの皮下に脂肪が蓄積する皮下脂肪型肥満があります。

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