奥歯がない人ほど「太りやすくなる」科学的根拠 歯磨きで「出血が止まらない人」ほど要注意

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「先生のいわれたとおりに内科で診てもらったら、糖尿病でした。重症で、このまま何もしないでほうっておくと、足を切断したり、透析したり、大変な事態になると脅されましたよ……」

『ボケたくなければ「奥歯」は抜くな』(青春出版社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

糖尿病は、すい臓で作られるインスリンという糖を代謝するホルモンが十分に働かないために、血液中を流れる糖(血糖)の値が高いままになってしまう病気です。

血糖値が高い状態のままでいると血管がもろくなるため、放置すると心臓病や失明、腎不全、足の切断といった、重い病気(合併症)につながる恐ろしい病気です。さらにやっかいなことに、歯周病も糖尿病の合併症の一つで、歯ぐきにある血管が傷つき、歯周病菌による感染が起こりやすくなることで発症します。そのため、すでに糖尿病の持病を抱えている方、血糖値の高い方は、歯周病への注意も必要です。

歯周病は「糖尿病の悪化」につながる

歯周病は糖尿病を悪化させます。歯周病を起こした歯ぐきで作られた炎症性サイトカインという物質が、血液中に入り込みます。そして、その物質は、血糖を分解するインスリンの効きを悪くするため、糖尿病を悪化させてしまうのです。歯周病を治療すると糖尿病が改善することがあるのはそのためです。

ちなみに、アルツハイマー型認知症は「脳の糖尿病」とも呼ばれ、糖尿病になるとかかるリスクが高まる病気です。つまり、歯周病・糖尿病・認知症はとても関連が深い病気なのです。

ただし、糖尿病も歯周病も、どちらも最初はほとんど症状がないため、それらの病気に罹患しても初期には気づかないケースが多々あります。

そのため、高血糖・糖尿病が歯周病を招き、歯周病が糖尿病を悪化させるという、両者が相互に影響して負のスパイラルに陥ることがよくあります。注意したいところです。

山本 龍生 神奈川歯科大学大学院歯学研究科教授・歯学博士

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やまもと たつお / Tatsuo Yamamoto

1964年岡山県生まれ。岡山大学歯学部卒業後、同大学歯学部予防歯科学講座助手、米国テキサス大学客員研究員、世界保健機関(WHO)インターン、神奈川歯科大学大学院歯学研究科准教授等を経て、現職。歯・口の健康と認知症やうつなどの全身の健康との関連を研究調査するなど、予防歯科学、口腔衛生学、社会歯科学の第一人者。

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