私立大学は一段と淘汰が進む厳しい時代へ、少子化に金融危機が追い打ち《スタンダード&プアーズの業界展望》

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事業法人・公益事業格付部
アナリスト 吉村真木子

私立の大学法人を取り巻く環境は、かつてないほどに厳しさを増している。スタンダード&プアーズは、セクター全体の信用力の方向性を今後1~2年程度は「ネガティブ」と考えており、その後も「安定的」に好転する可能性は非常に低いと見ている。

これまで長期間にわたって少子化によって私立大学法人は財務体力をむしばまれてきたが、金融危機により資産運用環境が大幅に悪化したことなどから、財務基盤の悪化が一段と進んでいる。

スタンダード&プアーズが信用力を分析する際に重視する項目に、大学の学生獲得力(志願者数推移、入学者の第一志望度)があるが、供給過剰状態にある中で、学生獲得力を強化していくのは容易ではない。厳しい事業環境下、競争力に劣る大学の淘汰が進むだろう。

かつてないほど厳しい事業環境を受け、財務基盤が悪化

国からの支援の少ない私立大学法人にとっては、かつてない厳しい事業環境が続く、とスタンダード&プアーズは考えている。不況の影響から、学費の安い国公立大志向が強まっている上、受験費用を抑えるために受験校数や併願校数を抑える動きもある。受験手数料収入の減少につながっているだけでなく、大学が欲しいと思う学生を獲得できていない可能性もあると見られる。

私立大学に交付される国からの経常費補助金は、2006年度に2.1%の微増となったのを最後に、国の厳しい財政事情により減少が続いている。

鳩山政権は教育関連の予算をきちんと確保するのか、先行き不透明感が一段と強まっているとスタンダード&プアーズは考えている。また、金融危機後の経済低迷は、寄付金集めにも多大なマイナス影響を与えるだろう。また資産運用収入の悪化も顕著である。

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