50代に糖尿病で亡くなった男が残す痛切な筆録 「落下星の部屋」が20年以上も続いている理由

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30歳前後で離婚して以来、ずっと独身を貫いている。テニスやスキー、スキューバダイビングが好きで、自宅マンションには天体観測用の望遠鏡やパソコン、カメラなどの品々が並ぶ。仕事に趣味にと精力的に過ごす一方で、無類の酒好きを止める相手はいない。いつしか医師から糖尿病(2型)だと告げられた。

不整脈の症状もあり、毎日薬を服用して定期的に医師の診察を受けるようになったが、自覚症状は薄く、不健康な生活が改まる気配はなかった。冒頭の引用はその果てに起きた“入り口”の出来事といえる。

右目失明。運転免許を返納し、視力回復に望みをつないで2年ほど通院して検査したがよい兆候は現れなかった。それどころか、数年と経たないうちに神経障害や腎臓障害など、糖尿病でよく起きる複数の合併症が頭をもたげるようになってきた。理由は本人もよくわかっている。

右目の視力を失ってから、「つぎは足にくるな」と思っていたのですが、私は足が壊疽(「えそ」と読みます。腐ってくる事。)を起こす恐怖よりもアルコールの魅力の方が強かったので、食事は注意していたのですが、飲酒はやめられませんでした。(^_^;)
(落下星の部屋 「右足切断」より)

右足にも異常が現れた

引用タイトルにあるように、次に異常が現れたのは右足だった。少し長いが引用を続ける。

ある日、右足の親指の付け根附近が痛み出しました。体重をかけたり、飛び跳ねたりすると、ちょうど打ち身やねん挫のような痛みがあります。
「まさか壊疽……」
と、恐る恐る右足を見たのですが、外見上はなんの異常もありません。
マッサージをしてみても、強く揉まない限りさほど痛くはありませんでした。
「しらない間にどこかにぶつけたのかな?」
と、ひとまず安心してしまいました。
もしもこの時点で医者に行き、詳しく検査してもらえば、右足の切断にはならなくて済んだ可能性が強いのです。
しかし、私はそのまま忘れてしまったのです。(^_^;)
それから4~5日もたった頃でしょうか。だんだん痛みがひどくなりました。
入浴したついでに、親指を見ると、つめの下の部分が真っ黒に変色しています。
「うわあぁぁ~~~っ、やったなっ」
それまでも毎日入浴はしていたのですが、目が悪いせいか、気が付かなかったのです。それでも、歩かないと痛みはありません。糖尿病から来る神経障害のせいです。本当に手後れになるまで痛みを感じないので困ったものです。
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