「日経平均3万円達成」後の株価はどうなるのか 「6つの記念日」から今後の相場を考えてみよう

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ファンド筋は年初のパッシブ運用の組み入れ比率の構築を急いだが、今はアクティブ運用のポートフォリオ構築を始めている。つまり、一方的に「日経平均が上がるだけの相場は終わった」と思っている。それが多くの記念日となっているのかもしれない。

「ハイブリッド相場」とも言われ、「需給相場と業績相場が併走している今の相場で、需給相場の流れは当分変わらない」としたが、業績相場の中心である企業業績がどうなるかはまだ不透明だ。

コロナショック前の昨年2月末時点で、2020年3月期の日経平均予想EPS(1株当たり利益)は1620円だった。だが、コロナショック後の同5月の決算発表集中時では、2021年3月期の予想EPSは550円まで低下した(予想を出せなかった企業も多数)。

その後、企業業績は急激に回復している。今回2020年10~12月期決算が終了したが、この時点の数字は1340円(2月19日)だった。

世界各国の経済は立ち直りつつある

すでに12月決算銘柄は今期(2021年12月期)の予想に変わっているが、このあと出てくる2月決算や3月決算の企業が、今期(3月決算であれば2022年3月期)予想をどれだけ上方修正してくるだろうか。

その1つの参考材料となる米欧の2月のPMI(購買担当者景気指数)速報値が先週末に出た。結果は、ドイツの製造業PMIは60.6と、1月の57.1を上回った。だがサービス業PMIは45.9と1月の46.7を下回った。

ただし、製造業とサービス業をあわせた総合PMIは51.3と、1月50.8を上回っていた。ユーロ圏、英国、アメリカの総合PMIもほぼ同様の流れが見て取れた。

このように、事前予想では1月よりやや低下すると言われていた2月のPMI速報値は意外に好調で、各国経済は立ち直りつつあることを示している。何かのきっかけでトレンドが想定外に崩れることだけには注意が必要だが、ここは一喜一憂せず、最後までこの相場に食いついていきたい。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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