「見た目外国人」の彼が職務質問受けやすいなぜ 「外国人=違法行為をしている」という先入観
「前の2回の時は、私の髪のせいではなく、黒人だからという理由で呼びとめられたんです」と表側さんは説明する。
「それで、今回呼びとめられたとき、同じ理由だと思いました。私はドレッドヘアにする前から、このヘアスタイルのために重荷を背負うことになると知っていたんです。自分が警察に呼びとめられることになるだろうとはわかっていました。
でもドレッドヘアだけのせいではなく、ドレッドヘアの黒人だからです。ですから、この動画の警察官が、ドレッドヘアが理由で私を呼びとめたと言って、私の肌の色のことは何も言わなかった時、その皮肉さに笑うしかなかったんですよ。私は疑い深い人間なもので」
どうしようもなくて「笑う」
彼の話を聞いていると、本当にその気持ちがわかる。この話を語りながら、彼は笑っていたが、私もこういう笑い方をよく知っていた。私もこんなふうに笑うことが時々あるからだ。当事者がこうした状況で感じるこの屈辱と怒りを覆い隠すには、笑うことしかできないものだ。
人間性を抹殺されたことを笑ってやり過ごすこのテクニックは、アメリカにいるアフリカ系の多くの人々が頼りにしているスキルだ。なぜなら、われわれが何を言い、書き、歌い、叫んで泣こうとも、「より優れた」社会によっていつも勝手に決めつけられ、ちょっとでも怒っていることを示そうものなら、怒り狂って理性を欠くという黒人のステレオタイプを悪化させてしまうと知っているからだ。
私の母ならこう言うだろう。「お酢よりハチミツの方がハエをたくさん捕まえられる」と。つまり、本当は怒ったり絶望していても、あなたが笑いかければ、あなたの経験により共感してくれるようになるものだ、ということなのだ。これは、「J-Gaze(ジェイーゲイズ)」の中で生きている、異なる人種の血を引く人々にとっても同じことがあてはまる。
J-Gazeとは、「ホワイトゲイズ」の日本バージョンを言い表すために私が作り出した言葉だ。「ゲイズ」とは、じっと見ることを意味する。
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