読んだ本の内容を「忘れない人」の秘密の裏ワザ 記憶力日本一が教える100%忘れない読書のコツ

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こんな結果からも文字や文章の形で記憶を保つことがいかに難しいかがわかります。

人類本来の脳を取り戻す読書=「イメージ」で読む

文章を追う読書が内容を覚えることに向いていないのであれば、どんな読書をすれば内容を忘れずに覚えておけるのでしょうか。

実際に世の中には大量の本を読み、しかもその内容を忘れずにいつでも取り出せる膨大な知識を頭の中に保管している人物がいます。そういう人たちに何か質問をすると、まるで見てきたかのように本から得た知識の中から適切な情報を提供してくれます。

今「まるで見てきたかのように」と言いましたが、ここに1つ目のヒントがあります。つまり、人類の脳に適した読書は、「イメージ」で読む読書です。

人類はつい最近に文字を発明するまでの間、どのように世界を捉えていたか。それはすべてイメージでした。視覚で見たイメージ情報をイメージのまま保存し、イメージのまま思考していました。

南アフリカで生まれて世界各地に広がった言語的人類は、なんと6万年以上もの間、文字を持たずに過ごしていました。つまり文字はヒトが生きていくうえで必需品ではなかったということです。

アフリカのサン族の洞窟絵画には、動物を線画のように単純化したものもありますが、文字には発展しませんでした。ヨーロッパのラスコー壁画も、文字を生み出してはいません。要するに人類というのは文字が嫌いでイメージが好きということを物語っています。これを引き継いでいる現代人の脳も当然、イメージが好きというわけです。

例えば何も習わなくても、自然と皆さんのお家の玄関のドアや扉の色や形はすぐ思い浮かべることができるはずです。今、頭の中に国会議事堂を思い浮かべてくださいと言われて「国会議事堂」という文字を浮かべる人はまずいないでしょう。あのニュースや新聞などでよく見る国会議事堂の姿が浮かぶはずです。

また、子どもの頃の思い出などは、何十年もたった今でもありありと頭の中に思い浮かべられるはずです。

記憶の専門用語で言えば、文字や文章による「意味記憶」に対して、このようなイメージによる記憶を「エピソード記憶」といいます。このようにエピソード記憶というのは脳で行われる思考ととても親和性が高く、もはや覚えようとしなくても覚えていられる類いの記憶なのです。

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