株投資で勝つ人が実践、「損切り」の正しい作法 感情の赴くままに不合理な判断をしない

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ただ、損切りに踏み切れずに苦しむこと自体は、投資家の落ち度ではありません。そもそも人間は、損切りが苦手なようにできているからです。ちょっと試しに、次の質問に対する答えを考えてみてください。

Q1 あなたはどちらを選びますか?
A: 無条件で500円もらえる
B: コイントスをして表が出たら1000 円もらえるが、裏なら何ももらえない
Q2 あなたはどちらを選びますか?
C: 無条件で500円失う
D: コイントスで表が出たら1000 円失うが、裏なら何も失わない

実はどちらを選んでも期待値は同じです。例えば、Bの場合は、2分の1の確率で1000円もらえるので、100%の確率で500円もらえるAと期待値は変わらないことになります。CとDに関しても同様で、期待値は同じです。

しかし、多くの人は迷うことなくAとDを選びます。というのも、人は利益が小さくてもいいから確実に受け取りたいと望み、損失はそれが大きくなるリスクがあってもゼロになる可能性に賭けようとするからです。

個人投資家は感情の赴くままに取引しがち

これは行動経済学で「プロスペクト理論」と呼ばれ、人は不合理な行動をしてしまうことを示しています。投資行動にもダイレクトに表れるもので、投資した後で思惑通りに上昇すると、利益がもっと伸びる可能性があっても目の前の小さな含み益(まだ確定していない利益)を、売却して確定したくなってしまいます。

逆に、思惑に反して下落し、含み損(まだ確定していない損失)が出てしまうと、この後さらに損失が膨らむ可能性があっても、一か八かで損がなくなる可能性に賭けて損切りを先送りしてしまうのです。個人投資家はプロの機関投資家とは違って自由に意思決定ができるので、感情の赴くままに取引してしまいがちです。

人の感情は利益を小さく、損は大きくするように初期設定されているわけですから、これでは一生勝てないのです。

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