これからは、若い労働力が不足していきます。高齢者層の就労によって、それを補うようにもなるのです。これは、社会にとっても本人にとっても、いい生き方だと思います。私が見ている企業の顧問をやっている人たちなどは、70代でも80代でも週の半分くらいはオフィスに来てバリバリに仕事をしています。ある意味、理想的な生き方をしていると思います。
2025年には25%が70歳以上、高齢者の定義も変わる
企業の顧問でなくても、農業のように年長者が現役でバリバリ働き、死ぬ間際まで仕事をして生涯元気という世界があります。生きがいがあるからできるのでしょうが、そういう社会が健全なのです。ですから、75歳定年とはいわず、高齢者がどんどん仕事をする社会になっていくでしょう。
また、平均寿命が上がるだけでなく、健康な高齢者が増加するのを受け、「高齢者」の定義が変わっていくでしょう。
これまでのように65歳以上は高齢者だから、社会から扶養されるという考え方がもはや成り立たないことは、誰もが理解しているはずです。75歳を高齢者と考え、65歳からそれまでの年齢は、むしろ社会を明るくする存在、経済を元気にする存在として、これからの日本の資産になると、発想を転換することが必要になってきます。
要するに、高齢者にもっと長く働いてもらうことで、日本は国際競争力を保つことができるようになります。財政面からも、社会保障制度の維持からも、国際競争力の点からも、高齢者の就業意識からも、これからは高齢者の力を生かす仕組みができていくでしょう。
国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計では、2025年、70歳以上は2950万人で、人口に占める割合は24.5%(およそ4人に1人)です。さらに75歳以上は2178万人で、人口に占める割合は18.1%(およそ5.5人に1人)になります。
さらに2050年を見ると、70歳以上は3104万人で、人口に占める割合は32%(およそ3人に1人)、75歳以上は2384万人で、人口に占める割合は24.6%(およそ4人に1人)になります。75歳まで退職年齢を引き上げれば、将来的に、高齢者の割合はいまとほとんど変わらなくなります。
いまの現役世代の人たちは、健康で寿命も延びて働けるようになっていくのですから、老後を極度に心配することはありません。超高齢化社会はそんなに憂うべきものではないのです。
日本人の老後は心配する必要がなくなるでしょう。そして、いかに心豊かに生涯現役を貫くかを考えるようになります。労働力人口の減少と社会保障費の膨張を考えると、この国の将来のためには、75歳定年を避けて通ることはできませんが、今後は75歳定年を前提に、これから老いつつある私たちは、いかに心豊かに生きていくのかを考えることが大切です。
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