コロナ禍の人事評価が「納得を得られない」事情 テレワーク拡大で見えにくい部下の仕事ぶり
従来の評価基準の項目や内容は、当然、同じ職場環境で仕事をしている状態の部下を評価するためのものでした。コロナ禍でリモート状態となったにもかかわらず、そのままの評価基準で評価してしまったため、適正に評価できず、部下の不満につながったのです。
評価者は、評価基準で求められる役割を部下が行っているかどうかを把握できずに、予測で評価してしまったり、目に見える実績や成果物のみで評価してしまう。
一方、評価を受けた部下は、コロナ禍の不安定な精神状態の中、自分なりに工夫しながら懸命に行った仕事のプロセスが認められない。このギャップが大きな不満となって噴出したのです。
2つ目のコミュニケーションについては、シンプルです。要は、適正に部下の仕事ぶりや成果、成長を把握するためのコミュニケーションが不足していたのです。
コロナ禍の急激な環境変化により、上司、部下ともまずは業務を滞りなく進めることを最優先に指示や報告を行っていました。そのため、評価者は評価を適正に判断するために必要な情報収集まではできていなかったのです。
評価制度は「人材育成型」で運用
それでは、こうしたリスクを回避するために、具体的にどのように対処していけばいいのか。
ポイントは2つあります。1つ目は「評価制度」を人材育成の仕組みと捉えて推進すること。もう1つは「評価基準」をつねに改善することです。
まずは、人材育成を目的に評価制度を運用していくことから解説していきましょう。必要なのは、以下のステップを踏むことです。
「1.評価」のポイントは、3者で別々のシートを使うことです。3者とは、本人による自己評価、直属の上司、その上の立場の上司です。一般的には同じ評価シートを使って行う場合が多いと思いますが、こうすると先に記入した人の結果に、ほかの人が影響を受けるため適正な評価はできません。
「2. 上司によるすり合わせ」は、上司2人によるすり合わせの場です。ここで、バラついた評価者同士の結果を議論しながら統一します。また、部下本人の次の成長に向けた課題や目標を明確にします。
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