ラジオはなぜ過小評価されるのか 「知る人ぞ知る」感覚の魅力とメディアとしてのプレゼンス

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関心の近い人たちがつながるから、口コミ効果が大きい

ラジオはパソコンやスマホをいじりながらの「ながら聴取」がしやすく、テレビ以上にSNSとの相性がいい。たとえばツイッターなら、番組アカウントの告知をリスナーがリツイートしたり、リスナー自身が番組の感想をツイートしたりすることで、それぞれのフォロワーに番組の存在が伝わる。SNSでつながっている人は興味や関心が近い場合が多いから、その口コミ効果は大きい。

以前はネットで番組の存在を知っても、そこからラジオを聴くまでのハードルが高かったが、今はインターネットでラジオが聴ける「radiko」というウェブサービスを導線にして、パソコンやスマホのアプリですぐに聴くことができる。「聴いてない人にも存在感を示す」ことが可視化の第一の狙いだったが、radikoの登場で、直接「リスナーを増やす」効果も高まってきている。

もちろん、店頭やタクシーにポスターやステッカーを貼ってもらうなど、従来どおりのアナログな方法も大事だ。書店とコラボレーションしたブックフェアなども面白い(紀伊国屋書店新宿本店3階には「文化系トークラジオLife」と連動した書棚もある)。

ただ、いずれも大事なのは地道にやることだろう。ネットは時折バズる(話題になる)ことがあるが、それも普段からのベースがあってのこと。ネットでの作業はなぜか地道の対極だと思われたりもするのだが、日々ツイートし、フェイスブックに書き込むのは地道としか言いようがない作業だ。

会社からやれと言われた仕事でもないのでいくらやっても褒められることはないのだが、過小評価を少しでも覆すべく今夜も地道な作業は続くのであった……(なお、番組の可視化でなくリスナーの可視化も大きな影響があるのだがそれはまた別の機会に)。
 

構成:宮崎智之

「週刊東洋経済」2014/6/21号:社長の通信簿

 

 ☆★☆お知らせ☆★☆

この記事の筆者・長谷川裕氏がプロデューサーを務める「文化系トークラジオLife」が、6月22日(日)25:00~(6月23日1:00~)に放送されました!ポッドキャストでも聴けます。


「里山ウェブの時代」
 「コンテンツの買い叩き」現象が目立つ今のウェブ環境は、「プロのクリエイター」であろうとする人たちにとって、まったく「おいしくない」ものになっています。ではどうするのかと考えたときに、ひとつの道としてあるのが、不特定多数の人たちに作品をばらまくのではなく、自分の作品の価値を理解してくれる人のところにきちんと届くような流通手段をとること。最近話題の「里山資本主義」の話に近い、いわば「里山ウェブ」とでも言える動きです。クリエイターと受け手のよい関係を目指す動きとして登場してきている『里山ウェブ』。あなたは支持しますか?

長谷川 裕 TBSラジオ プロデューサー

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はせがわ ひろし / Hiroshi Hasegawa

1974年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、1997年にTBS入社。2001年からTBSラジオの番組制作を担当し、「荻上チキ・Session-22」、「菊地成孔の粋な夜電波」、「森本毅郎・スタンバイ!」、「アクセス」などの番組を手がける。2006年に立ち上げた「文化系トークラジオLife」は、優れた放送番組に贈られるギャラクシー賞大賞を受賞(2008年)、同番組では「黒幕」としても活躍している。共著書に『文化系トークラジオ Lifeのやり方』、『文化系トークラジオLife』などがある。@Life954

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