オリラジが「デビュー直後」にブレイクした必然 武勇伝ネタは「偶然の産物」ではまったくない
次のネタ見せに出すべきものがもうない……。そこまで追い詰められてきてしまった。
途方に暮れて、ふたりでネタ帳をのぞき込んでいた。
するとあっちゃんが言った。
「ああ、どれがいいのかも、もうわかんねえ! 慎吾、好きなの選んでくれよ」
放り投げるようにして、ネタ帳をぼくに渡してきた。
びっしり書き込まれたそれをあらためてパラパラとめくった。
こんなに必死にやっているんだ、どれもイケてるよ、カッコいいよあっちゃん。
ぼくのなかに、そんな気持ちが込み上げてきた。
だから、というわけでもないけれど、
「うーん、じゃあこれ! これにしようよ」
武勇伝の原型、「中田伝説」
ぼくはひとつのネタを指した。「中田伝説」とタイトルが付いているものだった。
それはこんな感じのネタだ。
まずボケ役のあっちゃんが、
「オレってスゴいんだよ」
と、破天荒な自慢話をつぎつぎ披露していく。
「チョキでグーに勝つ」
とか、
「ジェットコースターは途中下車」
とか。ツッコミ役のぼくは、ありえない武勇伝ばかりなのにいちいち感心して、
「スゴいな! チョキのポテンシャルを最大限に引き出して!」
などと、ノリノリで合いの手を入れていく。
漫才というより、テンポのいい言葉の応酬といったところだ。
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