河井案里氏、議員辞職に込められた「ある思惑」 4月に3選挙区で補選、全敗なら「菅おろし」も

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東京地裁は1月21日、案里被告に懲役1年4月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。これを受けて案里被告は3日午後、山東昭子参院議長宛てに辞職願を提出、同日夕刻の参院本会議で許可された。控訴断念で案里被告の刑も確定した。

案里被告は3日、「判決内容は納得できないが、政治家として情けなく、政治的責任を引き受けるべきだと考えた」とのコメントを発表した。案里被告は克行被告とともに、東京地検特捜部に逮捕される前日の2020年6月17日に離党。同年8月に始まった一審では無罪を主張して争ってきた。

「4月総選挙論」の可能性はほぼゼロに

判決によると、案里被告は2019年3~5月、河井克行被告と共謀し、広島県議4人に現金計160万円を配った。判決は、いずれの県議も案里被告を応援しており、政治資金の処理に必要となる領収書もないことから、現金の趣旨は買収だったと認定した。

案里被告の辞職に対し、地元の有権者からは「遅すぎる」との声が相次ぎ、ネット上では「受け取った歳費を返せ」などの書き込みがあふれた。
菅首相は3日夕、「政治に批判が広がっていることを重く受け止めている」と淡々とした表情でコメント。案里被告の後見人とされる二階幹事長は「このような事態に至ったことは誠に残念なことであり、私どもも改めて自らを律するとともに、国民の信頼回復に努めてまいりたい」と苦々し気な表情で語った。

4月25日の3補選は菅首相にとって就任後初の国政選挙となる。すでに、衆参2補選が決まった段階で、下村博文政調会長が「ダブルで負ければ政局になる」と発言。「政局になるはずがない」と怒った二階幹事長への謝罪と釈明に追われるなど、自民党内は補選の情勢にピリピリしている。

自民党内では、2補選の実施が決まった2020年末の段階で「状況次第では新年度予算成立後の3月末か4月初旬に菅首相が解散を断行して、補選を吸収する」との戦略も取りざたされた。しかし、1月7日の緊急事態宣言の再発令で4月総選挙論は一気に下火となり、今回の宣言延長で「可能性はほぼゼロ」(自民幹部)となった。

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