テック業界に女性が進もうとしない根本理由 「ジェンダー平等と教育」ベニオフに学ぶ本気度

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企業倫理の面でも、セールスフォースは非常によくモニタリングができていて、すばらしいと思いました。

2018年にトランプ政権の政策で、メキシコとの国境で移民の親子が引き離されるという事件が起きました。このときにアメリカ税関・国境警備局(CBP)がセールスフォースの商品を利用していることがわかり、従業員たちは「自分たちの商品が人権侵害に使われている」とセンシティブになるのです。

これは線引きの難しい問題です。セールスフォースのプロダクトを使っているCBPそのものは悪ではない。しかし、CBPが移民に対してやっていることはどうなのか。

同じことはSNSでも言えます。ツイッターもインスタグラムも、それを使って人をいじめるということが起きます。フェイスブックは、フェイクニュースが広まるという大問題に直面してもいます。しかし、その責任がプラットフォームにあるのか、ユーザーにあるのか、線引きは難しいですよね。

けれども、ユーザーには信頼感のある利用をしてもらわなければ、それがプロダクトの信用問題になってしまいます。セールフォースの従業員は、その点で反発しており、ベニオフさんを突き上げるのです。そして、それに対してベニオフさんが真摯に向き合っている。これはすごいことです。

そしてセールスフォースは、チームを作って「倫理的・人道的利用」というアプローチを行い、プロダクトそのものをどう使うかが重要だという観点の取り組みも行っています。本当に感服します。

従業員との信頼関係が生んだ組織文化

従業員がCEOに意見し、組織を突き動かしているということも、すばらしいことだと思います。

日本人は、自分がいいと思ったことでも、社長がうなずかなければ、「そこまでのことではないかもしれないな」と引いてしまうところがありますが、セールスフォースの従業員は、自分が思っていることに対して自信を持って、「社長、これは絶対にいいから見てください」と言う姿勢があります。

Waffleのミッションは、教育とエンパワーメントを通じて女性を強くし、テック分野に誘っていくことです。そのエンパワーメントの部分が、セールスフォースには非常に強くあるということを感じます。

それぞれが、自分の言葉で人を動かせるということを知っていて、そういう従業員の言葉を、ベニオフさんはじめ経営陣が傾聴する姿勢があるのです。「自分は気にならないからいいや」ではなく、「自分が信頼する社員が言うのだから、何か意味がある」と考える。その信頼の姿勢もあってこそ成り立つものですし、すばらしい組織文化だと思います。

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