ミャンマー国軍による「クーデター」不吉な兆候 昨年11月の選挙結果に不満を募らせていた

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国軍系野党・連邦団結発展党は、住む地域が選挙を行うには争いに揉まれすぎているとの理由で、投票の直前に権利を剥奪された何十万人もの少数民族を代表する政党と同様に、選挙に不正があったと主張している。イスラム教徒のロヒンギャも投票が許されていない。

しかしミャンマーでは、2月1日に スー・チー氏らNLD幹部を拘束したことが、選挙での不正行為をめぐって行われたに過ぎないと考える人はほとんどいなかった。軍が介入する可能性への懸念は、昨年10月に少数民族地域の一部で投票が取り消された際に発生した。

ミャンマーの商業都市ヤンゴンで政策シンクタンクを運営するウー・キン・ゾー・ウィン氏は、「不吉な警告の兆候は、ずっと前からはっきりあった」と語る。

元政治犯であるキン・ゾー・ウィン氏は、数カ月前から暴動の可能性を警告していた。国軍がNLDへの不満を募らせていたにもかかわらず、国軍と文民政府との交渉は停滞していた。

国連事務総長の「警告」にかかわらず

国軍の権威が回復すれば、今年の夏に引退することになっているミン・アウン・フライン司令官の支配を長期化させる可能性がある。家業を中心としたフライン司令官の後援ネットワークは、同氏の引退によって損失を被る可能性が十分にあった。

今回の拘束は、アントニオ・グテーレス国連事務総長が挑発行為に対して警告を発したわずか2日後に行われた。グテーレス国連事務総長は、「すべての関係者は、いかなる形の扇動や挑発も自制し、リーダーシップを発揮し、民主主義の規範を守り、11月8日の総選挙の結果を尊重するように」と呼びかけている。

かつて自宅軟禁中に軍事政権への良心的抵抗を行ったことで国際的な人権の推進者として賞賛されたスー・チー氏は、近年において、公的な場における国軍のもっとも強力な擁護者として浮上していた。国軍に対して不利な証拠が積み重なっているにもかかわらず、彼らががロヒンギャに対して虐殺を働いたという告発を公的に否定したのだ。

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