菅氏を窮地に追い込む与党議員「銀座の夜遊び」 公明・遠山氏は議員辞職、自民党は離党ドミノに

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週刊新潮や週刊文春によると、松本氏は通常国会が召集された1月18日夜、銀座のイタリア料理店で飲食した後、午後11時過ぎまでお気に入りの銀座のクラブをはしごしていた。一方の遠山氏は、衆参両院での各党代表質問が終わった1月22日夜、有力な後援者との会食後に、深夜まで銀座の高級クラブで過ごしていた。

国対委員長代理だった松本氏は与野党修正協議の当事者で、幹事長代理だった遠山氏も1月25日の衆院予算委で公明党のトップバッターとして質問したばかり。1月27日の参院予算委で野党から厳しい追及を受けた首相は「大変申し訳ない」と陳謝。山口代表も「心からお詫びする」と謝罪した。

秘書のキャバクラ代を政治資金で支出

しかし、松本氏は職務を継続し、遠山氏は秘書のキャバクラ代を政治資金で支出していた事実も発覚。野党だけでなく国民の間にも「議員辞職にも値する」との厳しい声が広がった。国会運営にも影響が出かねない状況となったため、松本、遠山両氏は1月29日午後、それぞれ党執行部に役職辞任を申し出て受理された。 

ただその後も批判が拡大し、2月1日午前に遠山氏が議員辞職願を大島理森衆院議長に提出。同日午後には松本氏が党執行部に離党届を提出し、受理された。また、銀座のクラブで松本氏と同席していた自民党の大塚高司衆院議院運営委員会理事と田野瀬太道文部科学副大臣も更迭され、離党した。

松本氏も関与した1月28日の与野党協議ではコロナ特措法と感染症法の政府案について「懲役・罰金の刑事罰をすべて削除し、行政罰としての過料にとどめる」などで与野党が合意した。与党側からは「松本、遠山両氏の無自覚な行動が大幅譲歩の原因」(自民国対)との恨み節も漏れた。

自民執行部が当初、松本氏の処分に及び腰だったのは、菅首相と二階俊博幹事長が2020年12月の銀座での「8人ステーキ会食」で猛批判されていたからだ。政府与党の間では「秘かに夜会食を行う、同じ穴のムジナも少なくない」(自民若手)との声もあり、「厳しい処分をすると前例になる」(自民幹部)ことを恐れたとみられている。

菅首相は1月27日の国会答弁で野党議員から処分を求められると、「幹事長室で(飲食自粛の)通達を出しており、しっかり対応していく」と答弁した。しかし、松本氏はその日午後に開かれた麻生派総会の司会をつとめ、麻生氏が挨拶で「はなはだ不適切」と発言したが、松本氏自身は「どこ吹く風の態度」(派閥担当記者)だったとされる。

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