緊急事態宣言延長でも日経平均3万円の可能性 海外投資家は日本株のどこに注目しているのか

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日本製のEVが世界中の道路を走るようになるには、時間がかかるかもしれない。ただ、世界中を走るEVの目に見えないところ、言わば、縁の下の力持ちとして日本企業の活躍は大いに期待できるだろう。

まずは、EVの心臓部とも言えるモーターで日本電産(6594)。モーターとモーターを制御するインバーター、そしてギアを一体化させた駆動システム「eアクスル」は、すでに20社以上で採用が進んでおり、EVの駆動システムとして世界標準となる可能性も大きい。

そして、バッテリーのパナソニック(6752)は、アメリカテスラ向けの数量が順調に増加しているが、さらに高容量電池の開発を進め、トヨタ自動車(7203)と合弁を設立するなど国内のハイブリッド車向けも強化して電池事業の拡大を目指す。

電装化の進展で自動車向け出荷が増加

また、村田製作所(6981)やTDK(6762)は、電装化の進展で自動車向けの出荷が増加している積層セラミックコンデンサが、自動車の電動化が進むことで需要拡大が加速することになりそうだ。

さらにシリコンカーバイドという新材料での量産体制が整いつつあるローム(6963)は、自動車向けパワー半導体が期待できそうだ。センサーの有力企業である日本セラミック(6929)は、電流センサーの需要拡大に注目しておきたい。非常に裾野が広い日本の自動車産業だが、これからのEV時代で大きな新陳代謝が起こりそうだ。しかし、多くの企業が世界の舞台で新たな活躍の場を見いだすことは間違いないだろう。

有沢 正一 岩井コスモ証券 投資調査部長

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ありさわ しょういち / Shoichi Arisawa

1981年大阪府立大学経済学部卒業。1989年岩井証券入社、株式部、調査部などの勤務を経て、2003年イワイ・リサーチセンターセンター長。2017年5月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。株式投資の対象として有望な企業を発掘するため、関西を中心に企業の調査・分析に取り組むかたわら、個人投資家向けに月10回ペースで株式セミナーの講師を務める。

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